NHK大河ドラマ「功名が辻」感想文(4) ガラマニ作
06/08/6 第31話から、06/10/8 第40話まで

06/8/6 第31話 死を悲しまさせてください

仲間由紀恵さんが、一生懸命やっていることは、わかります。しかし、母親にとって、我が子を失うということは、他の存在を失うのとは、わけがちがうのです。

順風満帆だった山内夫妻を襲う、人の生涯で、最も辛い出来事を描く今回。仲間さんの演技力不足を補うために、脚本・演出が苦労したことがよくわかりました。それでも、だめでしたね。俺は、今までこの番組に対して、千代の動きに不満を感じても、大目に見てきました。仲間由紀恵さんが、一本調子の演技しか出来なくても、今までのシーンならば、まだ許せたからです。しかし、今回は。

娘・よね姫が死んでしまったときの、千代の様子。わかりますよ、仲間さんなりに頑張ったってことは…でも、だめ。そんなんじゃない。子供を失ったら、母親は気が狂うでしょう。そんな悠長な泣き方、放心の仕方で、通用すると思ったら大間違いです。

仲間さんは「母親の演技が出来なかった」と思いますね。よねちゃんは女友達じゃないんですよ。あなたの、娘なんですよ。仲間さんは、旦那を恋い慕う演技は出来ましたが、我が子を愛する気持ちは表現出来ていなかった。そして、圧倒的に、死生観にかんする考察が足らない。娘でなくとも…思い返すに、千代が、隣人の「死」を感じたさいの表現は、すべて物足らず、感動できなかった気がします。

登場人物の「死」を、視聴者に悲しいと思わせる。それが役者の仕事です。ですが、仲間さんは俺を、心底悲しい気持ちにさせることが出来ていない。致命的な欠陥です。勉強不足です。

歴代大河ドラマから、死を悲しむシーンを思い浮かべると、「武田信玄」で、信玄の嫡男、武田義信(堤真一さん)が殺されたときの妻。演じたのは古村比呂さんです。夫を失い、発狂し、激昂し、放心し。このシーンは、一回見ただけですが、たぶん俺は、一生忘れないだろうと思います。あのとき古村比呂さんは、まだ若かったけれど、芸術的霊感を備えた女優さんでした。

大河で描かれた「死」といえば、「新選組!」で、山南敬助が切腹する回。説明は不要でしょう。日本中を震撼させた「友の死」です。友人を死なせた土方歳三(山本耕史さん)が、ラストシーンで号泣したとき、一緒に号泣しなかったファンはいなかったじゃないですか。古村比呂さんも山本耕史さんも、うら若い青年で、実際に近親者を死なせた経験がなくとも、視聴者を泣かせるといいう、役者の仕事を立派に果たしたわけです。「功名が辻」はこの先、多くの「死」を描かなければならなくなります。ヒロイン仲間由紀恵さんには、試練の日々になるでしょうが、どうかもっともっと血反吐をはいて、演技に没頭してほしく思います。

06/8/13 第32話 家康の部屋って照明暗すぎませんか

前から思ってたんですけど、徳川家康さんちのオフィスルームね。一豊とか、お客さんと謁見するお座敷よ。あそこ、暗すぎません?いくら電気のない時代だからってさ、昼間だったら、襖開けてもっと射光入れなさいよ。家康さん、あんた、そんな暗い部屋で仕事しとるとさいが、チカメになってまうにーと思うのは俺だけでしょうか。

さらに。これも前から思ってたんですけど、NHKのドラマって、大河に限らず、朝の連ドラも木曜時代劇も、照明が、よろしくないのです。誰も彼もが、老けて見えるんですよ。しわを強調する意図ならば成功ですが、NHKの照明は、デフォルトで「暗い」んです。このことは、テレビ朝日の「徹子の部屋」に、かの美輪明宏先生が出演されたとき、

美「こちらの番組は、照明スタッフが素晴らしいわ。あたくし、色んなテレビ局の収録に行きますし、テレビ番組見ていても思うんですけどね、テレビ朝日はね、照明の仕事がよろしいんですのよ。誰でも、きれいに映しますもの。照明が最低なのは、NHKですわオーホホホホ」

そうなんですよ。俺、NHK大河ドラマは好きだけどさ、照明とメイクは、ぜんぜんあかんと思ってます。同じ俳優さんの顔で、NHKと民放とを見比べれば、分かりやすいと思います。それで、今回の放送でものすごく気になったのが、西田敏行さん演ずる徳川家康が、いくらなんでも顔色悪すぎるということです。お部屋の照明は暗すぎるし、メイクもなんだか不自然。秀吉の弓形眉毛と、朱色の頬紅のキモ悪さには、だいぶ慣れましたが、家康の、グレーのアイラインはなあ…ちょっとなあ…

お話しの方は、旭さんの輿入れという有名なエピソードを、「功名が辻」らしく料理しており、いい内容でした。初夜を迎えた旭さんと家康の、寝室シーンが、なんともよかったです。無理やり離縁させられ、嫌々自分と結婚させられた女。四十路の、美しくも、賢くもない新妻に対して、家康が、気遣いの言葉をかける態度には、いたく感動しました。あなたは、兄の秀吉に似ず、かわいいし、老けてませんよって。

ううむ、大人の男の器量ですなあ!なんでもバカ正直に喋っちゃうのが男女の美徳と思っている、最近の若いやつに、見習ってほしい「優しさ」ですわ。肌を合わせる男女間で大事なことはね、「本当はどう思ってるか」じゃないんですよ。

06/8/20 第33話 お互いの異なる性分を尊ぶべし

きょうの「功名が辻」は、一豊と康豊が兄弟げんかをし、彼らのお母さんである法秀尼さんが亡くなり、秀吉はキリシタン禁止令を出し、細川ガラシャが緑色の着物を着ていて、茶々たんが顔面パッツンパッツンというお話しでした。法秀尼(ほうしゅうに)さんが、いまわのきわに残した言葉は、格言名言のオンパレードサンバパレードでござりました。

法「考えがちがうということは、実は、素晴らしいことなんです。」

仲違いする息子二人に、母は「おまえら性分が違うのはしゃあない。違って当たり前なんじゃ。それをお互い認め合えば、自分らを高めることが出来るんじゃ。」というような意味のことを、遺言しました。俺ァ、この言葉に励まされましたねえ。今の自分に、誰かの口から、言ってほしかったんですよ。それを、法秀尼さんに、ズバッと言ってもらえて嬉しかったなあ。

第31話で一人娘を失った千代。こんどは、自分の育ての母とも呼べる義母を失い、彼女には、悲しいことが続きます。仲間由紀恵さんは、人の死を悲嘆する演技が、31話よりは、少し上達したなと思いましたね。努力してるね、仲間さん。

印象的だったのは、山内一豊です。実子が死んだときも、実母が死んだときも、千代を抱きしめて慰める一豊。特に、実のお母さんのことは、彼の方が千代よりずっと辛いだろうに。自分の悲しみをあらわにするよりも、妻をいたわる方を優先する夫。ある意味、女性作家が描く「理想の夫像」なのかな一豊は、と、思いました。

他にも見どころはたくさんありましたが、俺は、大好きな六平太が、もう出てこないのか?それが気がかりでなりません。この番組最高のオットコマエ、六平太。かつては、千代と一豊のラブラブゲッチューなベッドルームに踏み込んで邪魔するのが趣味だった彼の、再登場が待たれます。

06/8/27 第34話 大河が大好きなのでおじゃるぞ

今回は、「功名が辻」各話エピソードについてではなく、NHK大河ドラマについて思う事を書きます。

NHK大河ドラマの感想文を、ウェブ上で発表するようになって、気がつけばもう、2年以上が経ちました。書き始めたきっかけである「新選組!」の衝撃は、昨日のことのように新鮮な記憶です。

「功名が辻」は、このはてなダイアリーで連載、のちサイトに編集版を載せる手法をとりました。連載記事は、リンクの風通しのよいブログ上ゆえ、トラバをいただいたりします。そうすると、他の感想ブロガーさんの作品を、以前より多く、目にするようになりました。「新選組!」と「義経」の感想文を書いてた頃は、他の人の感想文は、今ほど読んではおりませんでした。そうしている中で、最近、顕著に感じるようになったことがあります。

それは、自分と、他の感想文作者との視点の違いです。もののは考え方は一人ひとりみんな違いますから、「2006年度 NHK大河ドラマ 功名が辻」という一個の対象を論ずるのに、書き手によって、目の付けどころがずぇんずぇんちゃうわけです。そんな「違う点」を発見すると、非常におもしろいのです。

「功名が辻」について書いているサイト、ブログ、掲示板などを色々、読んでいます。感想文作者には、日本史マニアがたくさんいます。その中でも戦国時代マニアが、特段に多い。

一方で、芸能人のファン目線で論じている感想文も多い。「功名が辻」を、民放含めた「連続ドラマ」の一つとして見る目があります。「歴史劇」として、「時代劇」として見る目は、それぞれ意味合いが違うし、仲間由紀恵さんの主演ドラマの一つとして見る目もあるわけです。

司馬遼太郎の原作小説ファンの、「ドラマ化された出来栄え」を見る目。原作とイメージちゃうやん!という声も、当然のことながらあるわけです。脚本家・大石静さんのファンが、大石作品の歴史に位置付けて見る目もあります。

さて、では、ガラマニは何目線なのか?と、考えさせれらるわけです。これら他の感想文作者さんたちの中で、自分の特徴はなんじゃらなァと。

sanraku2さん作「日本史日誌」 さんのように、俺ぁ歴史に造詣が深いわけではないしなァ。sanraku2さんは、歴史好きでいらっしゃって、俺は「歴史好き」なんじゃないんだなーって、「日本史日誌」さん読んでて思いましたねえ。毎度、番組と史実とを照合されている「日本史日誌」さんにひきかえ俺は、凡そ大河においては、史実はどうでもエエと思っています。

史実重視の見方からだと、「北条時宗」なんて見た日にゃー、発狂しちまいます。じっさい俺、赤マフラー登場時には、自分が幻覚見てるんだと思いましたもん。最終回がこれまた、気ぃ狂いそうでしたねえ。その狂ってるかげんが、面白いと感じるんです。

俺は、日本史マニアでもなく、時代劇マニアでもない。大河以外の連続時代劇は、最近ほとんど見てない。芸能人については、まるっきし疎い。巷で人気の若手俳優は、大河で初めて知るぐらいの厭世ぶり。原作も読んでないし。

而して俺は、「NHK大河ドラマが好き」なんだなーって、思いましたねえ。

日曜夜8時が、NHK総合が、オーケストラでバーン!と始まるときの臨場感が、出演者の名前が、毛筆縦書きでトゥルルルルと出てくるさまが、それが、「花の生涯」から続く、NHK大河ドラマという枠であることが、大好きなんです。

千代を、俺が見る目は、歴代大河ドラマの「主人公」と「主役」を見る目であるし、淀君を見る目は、歴代淀君との比較目線が、常にしっかとある。そうですね、役者さんの演技をつぶさに見ていることについては、俺ァ、力が入ってますよ。贔屓にしてる芸能人が出るとそりゃ嬉しいですが、こと「NHK大河ドラマ」に出たからには、演技について甘くは見ません。こういう点が、ガラマニ感想文の特徴かな、と思った今宵でおじゃるぞ。

06/9/3 第35話 小田原の北条攻め…

小田原の戦いが…今日の放送で… お、俺は、おれはね、ずっと前から、この回が来るを、すっごく楽しみにしてたんす。だのに、なぜ。

中村一氏さんの出番がまったくないって、どういうことよーーーッ!!

個性が光るロンブー田村淳さん、彼が意欲的に演じている中村一氏たそが大好きで、今回、中村さんが合戦で活躍するんだと思って、すごいすごい、ワクワクしてたのにィッ!

だって、一豊と堀尾さんと、中村一氏さんは、3人仲良しっ子で、その中で、若い頃には一豊に水をあけられて、いつも悔しがってた中村さんを、俺は好きで…ずっと応援してきて、NHK公式サイト の中村さんの説明文に

小田原城攻めの後の論功行賞では、一豊 掛川5万石、堀尾 浜松12万石に対し、中村は駿河14万5千石をあてがわれ、出世競争では一歩リード。

って書いたぁるからさ、てっきり、小田原城攻めの回には、胸がスカッとするような、大活躍が、かっこいい田村屋の演技が見られるとばかり、思って、そう思っていたんだああああああ うわぁああん 俺の楽しみをかえしてー!

今回、孫平次(ミドルネームまごへいじ)こと中村一氏さんが話しにからんだのは、ラストに近い、一場面のみ。一豊が帰宅し、千代にむかい、例によって次年度年棒の結果を話した時のせりふ

「孫平次は、駿府14万5千石。」

そんだけかぃッ!あぁ、功名が辻に、オットコマエが出ないと、明日の仕事へのちからが出ないよ。しょんぼり、肩を落としていたら、次回予告に、おおー!待ちに待った、六平太が再登場!オットコマエ度数は、来週に期待しよう。

小田原攻めの描写はさ、秀吉と家康の相克を描くために、俺の贔屓の中村さんが、まるっと割愛されちゃったのが本当に残念でした。分かるんだけどね。史実エピソードをあれもこれもぜんぶ描こうとすると「ドラマ」にならないからねえ。俺も、この感想文では、旭さんと甚兵衛さんの悲劇には触れないと、決めて書いてますもの。

06/9/10 第36話 六平太10年ぶりだったのかい再登場

こんばんは、「功名が辻」におけるオットコマエ度数、第1位の六平太再登場に、小躍りして喜んでいるガラマニです。今回は、オットコマエ第2位の、中村一氏さんの出番もあったし、よかったな。(ただ前回、小田原攻めで、中村さんを出さなかった恨みはぁ、俺ぁ忘れねえけどなブツブツ)

再登場の仕方が、六平太らしいですねえ。闇に忍ぶ職業らしく、さりげなく。かつ、千代に対してだけは、自己アッピールな演出を惜しまない。彼の、彼女に対する激惚れかげんが、よく伝わってきます。

千代の養子・拾くんが「表のさむらいが、これを母上にって。」紙包みを手渡します。はて、なんじゃらなぁと首をかしげ、開けてみた千代、幼馴染みの、二人だけの秘密の鉄砲玉が入っているのを見て!さてそこで、千代も六平太に、惚れておるならば、瞳キンラキラキラなるはずですが、悲しいかな、千代は、夫・一豊しか愛していないのですなあ。千代の、彼に対する感情は、トモダチ以外のなにものでもないんだよなあ。六平太の方は、再会した彼女の、艶やかに成長した姿に見惚れて、またここを去らなければならない悲嘆に、耐えて、耐えて…千代を抱きしめたくなるのを、必死でこらえて。「明国はな。」と話しながらもう、涙をこぼしてしまって。なんて報われない、かわいそうな六平太よ。

こういう時にさ。惚れられている方はさ。この男に惚れられていると、充分すぎるほど分かっていながら、「六平太、かわいそう。」とは、けして思わないものなんだよな。「いいえ、わたくしも、六平太の気持ちに応えられないことは、気の毒だと思ってますわよ。」と、千代は仲間由紀恵ボイスで言うだろう。でもしかし…そんな同情なんか、クソの励ましにもなりゃしない。それが片恋ってもんなんだ。

千代との別れ際、辛抱たまらず、彼女のほほを、だけ、指でついとなでた、彼。さようなら、俺のただ一人愛したおなごよ。ってジーンとしてたら、次回予告にまたまた六平太、天井裏に忍んでおります登場します!おう、ロクの本領発揮が見られるね?六平太よ、今度もまた、山内夫妻のラブラブゲッチューシーンの邪魔したってや!中村一氏たそも出番でるでるマーカーのようだ。こりゃ、楽しみですねっとぃ。

06/9/17 第37話 こんな孫平次が見たかった

孫平次。まごへいじ。中村孫平次一氏さん。

そもそも俺は、歴史上の人物としては、中村一氏をよく知らず、このドラマ「功名が辻」で、詳細を知りました。彼に興味を持った理由は、演じているのが、ロンドンブーツの田村淳さんだからです。と、言って、俺は芸人・ロンブー田村さんのことを、格別に好きだったわけでも、ないんです。俺が中村@田村に、激しく惹かれたのは、昨年の「功名が辻」キャスティング発表会において、田村淳さんが、こう語ったからです。

彼は、大の日本史好き、殊に城郭マニアで、NHK大河ドラマが大好きだと言うのです。大好きなNHK大河ドラマに、出演出来るだなんて、夢のようだと。ね。ねえ、ねえ、皆さん。キャスティング発表会でさ、こういうことを言う役者さんは、多いですよ。そりゃあ、大河に出れば名誉だし、自分が出演「させてもらう」番組の記者発表会で、嬉しくないと、言う人は、いませんよ。

でもね。発表会で、インタビューに答える田村さんの、顔をね、俺は、週刊誌のグラビアで、見たんですよ。満面の笑み。心から、ああ、本当に嬉しい!と微笑む、田村さんを見て、俺ァ、自分のことのように嬉しく思ったんです。この笑顔は、本物だと分かったんです。ああ、この人は、本当に大河が好きなんだって!その瞬間、俺は、田村淳という芸能人が大好きになってしまい、本編で、彼が演ずる中村さんが活躍すると、「いいぞ!」と、こぶし握りしめて興奮するようになったんです。

そんな俺にとり、今日の放送は、よかった!脚本が上手い。おおぜいの登場人物を上手く配し、それぞれに見せ場を充分に持たせてくれました。加えて、今回の演出、舞台効果もよかった。光陰や小物の使い方、カメラワークに工夫が見られました。

豊臣秀次の立場がワヤになってゆく過程で、孫平次こと中村一氏さんが、切れ者であることが十二分に表現されて、俺ぁ、溜飲が下がりましたね。柔和な堀尾さんも、バカ一徹の一豊も、それぞれに苦悩し、それぞれにちゃんと「賢い」のだけれど、孫平次は違うの。彼は、怜悧に状況を見ている。秀吉が死ねば、秀次のお守り役の我らも、安泰なのになあと言う孫平次。それに反論する正義感一豊に一喝。

孫「きれいごとをゆうとる時ではない!」

こう言う彼が、「冷たい」のかといえば、そうではないんですね。孫平次は、行動・言動ともに「賢い」のですが、心根では、一豊に同感しているのです。主君・秀次が廃されることにも、秀吉が老いていくことにも、彼は一豊と同じように、心を痛めているんだよな。だけど、そうした素振りを見せない。一豊にすら見せない。「切れ者」と呼ばれる、中村一氏のような男が、内心ではいかに苦しんでいるかを、演技で表現する田村淳氏は、本当に素晴らしいと思う。

孫「あほう!そちたちは、太閤殿下の恐ろしさを知らんのだ。」

秀次の若い側近どもが謀反を企て、ますます秀次の旗色が悪くなると、山内夫妻は、秀次に会って慰めたり、秀吉夫妻に会ってとりなしを頼んだりという、表立った行動ばかりします。だけれども、「切れ者」中村一氏は、違いました。

秀吉の前に連行された、秀次の側近の父。まだ謀反の証拠はあがってません。しかし秀吉は、襖の向こうにおる、ある部下の名を呼びました。

猿「孫平次!」

孫「ハッ!」

このシーンが、めさくさ興奮した!感動した!田村淳氏の発声の、凛々しいこと!スッと襖を開けた、孫平次の胸元には、謀反の証拠品、連判状が入ってます!うわ、もう、めさくさかっこいい!最後に、秀吉に「秀次を連れて来るよう、山内一豊に伝えよ。出来なくば、山内家も…」とすごまれた時の、苦汁に耐える顔にも、心うたれました。中村一氏さんを好きになって、今日までドラマ見てきて、よかったと思えた本日の放送でした。

【他、感心ポイント箇条書き】

淀君役の永作博美さんの演技力は、ただものではない。「悪巧みをしている顔」を「見せない演技」をしている「淀君の演技」をしている永作博美状態。

秀次役の成宮寛貴さんは、愚者の狂う様を非常に上手く演じている。本当の愚者に見える。悪人ではないこと、賢くないことが、愚かなのかと。自分の愚かしさを自覚するも、どうしていいのか分からない、秀次の苦しみを。

俺が、戦国武将で一番好きなのは、実は石田三成。でも、「功名が辻」の石田三成は、あんまり好みじゃないんだなあ。中村橋之助さんは、いい役者さんなんだけど、俺のイメージの石田ジブじゃないの。もう少し細面で、狐目で、曲者のイメージが強い、俺の脳内石田三成。

全国の六平太ファンのおともだちが、一様に突っ込んだであらう。山内夫妻のお部屋の、天井裏に六平太。あんた今はどこの間者でもないんだからさ、フツーに玄関から入ってお話しすればいいぢゃん!あ、そうか。千代をビックリさせたいって魂胆か。ついでに一豊もビビらせてやれキヒヒみたいな。愉快すぎ。六平太最高。

06/9/24 第38話 主人公、山内一豊。

今回も良かった。脚本も演出も、役者さんの演技も、隙がなく、はじめから終わりまで、感涙しっぱなし。

前半部、成宮寛貴さん演ずる秀次が、自分の宿命を受け入れるくだり。千代と、永の別れをするシーンで「にこり」と笑った刹那。あんとき、秀次の内的世界に、一気に惹きこまれました。俺は成宮さんのことは「あらしのよるに」の声優の、ヤギの方ぐらいにしか認識してなかったのだけども、秀次役は、まっこと秀逸でした。童顔を自覚し、それを最大限に生かした表情を作っておられて。見事な役者さんだ。

後半部、今回はちゃんと玄関から入ってきた六平太が、庭にいた千代と話し込んでいました。捨て子の拾くんを、山内家の後継者争いに、巻き込んではならヌぞと、人生アドバイスをする六平太。ウツロな表情がいかしてます。ふと思ったのですけど。以前、六平太が、山内家に雇われていた頃。香川照之さんの演技力・存在感の凄まじさに、他の役者さん全員が、完全に食われてしまっておりました。画面の中心になって演じている役者さんより、バックで立っているだけの香川さんの方が目立っており、「ガラスの仮面」で北島マヤが、舞台荒しと呼ばれていた頃を彷彿とさせられたもんですが、最近の六平太は、「目立たない演技をしている演技」になっていることに感心しましたねえ。回ごとに、目立つ・目立たないをセレクトして演じ分けられる方なのだなあ。

今回、俺を視聴者を泣かすという、難しい仕事を成し遂げたのは、拾くんでした。熱心に武術の稽古に精を出し、勉学に励み、両親への恩に報いようと努力する少年。そんな彼に、出家せよと言わなくてはならない、山内一豊。

「わたしが、捨て子だからですか。」と嘆ずる拾くんの姿に俺は、「リーンの翼」第6話での、在日韓国人・金本平次くんが言った「エイサップだって、差別されてたんだろ!」を思い出して涙。さらに、「カムイ伝」で、非人部落の少女ナナが、百姓の正助に恋をし、露天風呂に入っている彼に問いかけると正助は、裸を見られるのを恥じて、ナナからはなれようとするのだけど、それをナナは、自分に触れられるのを嫌がったのだと勘違いして、「わ…わたしが、非人だから?」と涙するシーンを思い出して、俺は涙。つまり出自によって虐げられる者にしか感じえない「痛み」を思い、胸が張り裂けそうだったよ俺は。ごめん例えが長くて。でもこれは、言いたいんだ。

子役・拾くんの演技は、もちろん素晴らしかったのですが、俺が感動を新たにしたのは、上川隆也さんの、主人公としての存在感でした。脚本も上川さんも、意図して、前回までは、一豊は目立たない、地味な役どころに置いて、今回、ぐいっと、武将らしさ、父親らしさ、男の辛さを、全面に出してきました。やられました。40代後半になった一豊は、いつも今まで、千代の前で、耐えて、耐えて。家臣の前で、同僚の前で、主君の前で、耐えて、耐えて、耐えて。そして、我が子として可愛がってきた拾くんを、家から追い出さなければならなくなって。一豊こそ、実子・よね姫を失い、実母を失い、主君秀次を失って、いつも今まで、いちばん号泣したかっただろうに。泣き落ちる妻を抱きしめ、自分は、耐える。男が立場を持ち、人を従えるためには、どれだけの苦しみに耐えなければならないかを、切々と描いた、今回のお話しは、良かった。

次回、第39話。唐沢寿明さん演ずる、前田利家登場!「利家とまつ」の感動プチふたたび!「利家とまつ」も思い出深い作品で、語り出したらとまらんのだよ。あー、カラカラカラカラ唐沢さん出る♪楽しみだのお。

06/10/1 第39話 男が怖れる老い

ガラマニは女だから、美容には気を使う。少しでも若い肉体を維持しようと、アンチエイジング化粧品を使ったり、健康サプリメントを試したり、努力している。幸い、太る体質ではないから、3サイズは気にしたことないけど、なにせ「聖戦士ダンバイン」本放送年からこっち、3サイズに変動ないけど、こういうこと書くと反感買うけど、でもホントだものぉ〜♪と思うけど、まーとにかく、日夜、「老い」と闘っている。この記事書きながら、顔面にはデストロイヤーのような真っ白いコットン製の、ローションパックを貼っとるしな。そんな俺が「老い」を意識し始めたのは、たぶん十代からだ。18歳を過ぎた頃には「もう少女じゃなくなったんだ」とプチ落ち込んだし、25歳を過ぎた頃には以下略

今回の「功名が辻」を見ていて強く思ったのが、自分とは違う生き物である、男たちが怖れる「老い」についてだ。死に瀕した秀吉の、老いさらばえた醜悪さ。淀は「おじいちゃん、おくちくさ〜い」って言うし、盟友・前田利家は、秀吉のおもらしを、ガキのせいにしてフォローしてくれるし、そうされている秀吉の…いや、還暦をすぎた男の気持ちとは、いかに辛いかを、訴えかけられた。

秀吉は、老年に栄華を極めたせいもあり、生への執着甚だしい。生にすがるじじいの醜さを、柄本明氏は、持ち前の体当たり演技で見せてくれた。権勢を持つ者は、後顧の憂いを恐れる。豊臣家の行く末を案じる。子々孫々を心配する男の心根は美しいものだが、しかし、「後は任せた!」と思えないほど、豊臣秀吉は死に際において、政治的に追いつめられていたのだなあ。かわいそうな人だ。為政者になること、栄耀栄華を思いのままにすることが、人にとって幸福なのではないと、俺は思った。ガラマニは、人生の何に重きを置くかと問われれば、精神の自由を第一に願う。愛読書である美輪明宏先生の言葉に、こうある。

「人は、生きてきたようにしか、生きていけないのです。」

脱線した。男が怖れる「老い」を感じた、もう一人の登場人物は、山内一豊だ。千代は、一豊に、おにゃのこをあてがい、やっちゃいなさいと設定するが、このおにゃのこがまた、なんでまたそんな不細工を持ってくるんだという顔なのだが、まあハメるのはアリだろう。だが、一豊は拒絶した。なんでだ、と、やりたい盛りの年代の視聴者は思う。俺も思う。まず一豊は、男の中でも、女遊びが出来ない部類に入ることがある。山内一豊と賢妻の逸話を見るにつけ、こういう夫婦は、女の方が恐妻だから浮気が出来ないのではなく、男の方が、浮気したくても出来ないタイプなんだよなあと思っていた。いるよ、こういう御仁。一豊も若い頃には、小りんとやっちゃっていたが(実際には、ドラマに描かれていないだけで、他にも女とは、いくらも寝ていたに相違ないのだが)、しかし五十路を前にして、作中では、もう愛妾は持たないという選択をした。

なぜかと考えるに、「老い」だなと思った。もとから一豊は、セックスがそんなに強くないタイプだ。精力というものは、持てる者には有り余るが、持たざる者には、どうしたって手に入らないものだ。「若い子相手にして、ショボショボになったらどうしよう。」「千代の命令で褥に来ただなんて、後で女同士で、わしのアレがどうのこうのと噂されるのはいやじゃ。」こうした杞憂は、性欲を持て余す秀吉みたいなタイプには無縁なのだが、一豊は気にしてしまうのね。小りんと付き合ってた、若い頃には気にならなかったことが…山内家内部のこと、側室に子供が出来たら、弟一家との兼ね合いはどうなるか、家庭内で千代と家臣たちには、どんな振る舞いをすればいいのかと…色々エロエロ心配して、そっち方面に消極的になってしまう、そんな一豊に、俺は、男の怖れる「老い」を見た気がしたんだ。

それにしても、唐沢寿明演ずる、前田利家は、存在感あったなあ。一回こっきりのゲストに、こうした趣向はおもしろいぞ。俺みたいな往年の大河ファンは、大喜びさ。

06/10/8 第40話 関ヶ原前夜

ものすごく嫌な予感がするのだけど…毎年、大河ドラマでは、今ぐらいの時期に、大きな合戦などの、史実メインエベントを放送してきましたよね。「MUSASHI 武蔵」では巌流島、「義経」では一ノ谷の戦いから壇ノ浦、「北条時宗」では元寇×2と。今年度、「功名が辻」では、関ヶ原の戦いが、秋のメインエベントになるのは間違いないと思い、見て来ましたが…嫌な予感というのは、関ヶ原合戦シーンへの、俺の期待は大きいのに、まさか裏切られたりしないよな?な?な?な?という気持ちのことです。

この番組、ここんとこずっと、マトモな合戦シーンがなく、ロケも少なく、騎馬シーンは合成映像で、はっきりゆってショボい。期待はずれが多い。最も腰砕けだったのは、ガラマニ贔屓の中村一氏たそが大活躍するはずだった、小田原戦でした。中村孫平次一氏が、エピソードから除外されただけならまだいいが(よくないが)、主人公一豊の合戦的見せ場すら、なかったのにはガッカリしましたねえ。秀吉・家康ら大物の政治的シーンばかり目立って、いくさの描写が少なかったですもん。

そんな中、天下分け目の関ヶ原ですよ。ここで合戦シーンに金かけんかったら、なんのためのNHK大河ドラマじゃい!なんのための受信料一年契約じゃい!うちはBSも3チャンネル契約しとるんじゃい!こんどケーブルも引くんじゃい!地デジになったら事実上、NHK受信料不払いはできんくなるらしいが、うちはちゃんと払うさ、大河にケチらんで金かけて、血わき肉おどる合戦シーン作ってくれるんやったら、受信料高くなったっていいとまで思う俺の、こんなにまで、あん〜あ、こんなにまで、ワクワクしてる俺の、期待にこたえてくれよ頼むぜ「功名が辻」の関ヶ原ぁッ!と、思うのであります。

心配になり、NHK公式サイトを見に行ったら、宍戸錠、案の定、「次回のあらすじ」がネタばれしすぎで、泣いちゃいましたよ奥さん。わかっちゃいたけどさ、史実だから。俺の大好きな彼が…

今回の演技も素晴らしかったよ、田村淳さん。あなたが、いかに大河ドラマを好きか、役に生命をかけているかが、ビシバシ伝わってきましたよ。老け役を演じこなしてるし、発声には緩急があり、石田三成の前で、やつに負けない「賢さ」を表現出来ている。ロンドンブーツ1号2号をまったく知らない、うちのパパママリバティーは、あなたのことを、個性派俳優だと思って見てますよ。田村淳さん、あなたはどの仕事に対しても妥協せず、常に努力するかただ。ロンブーのバラエティも俺、よく見てるけど、笑顔で司会しながらあなたは、絶対、手抜きをしない。田村さんの仕事に「適当にやる」の文字は、無い!「功名が辻」第1話からの仲良しトリオの、上川隆也さんと生瀬勝久さんは、元もと上手い役者だから、通年で老けていく役作りも、そつなくこなすだろうけど、あなたは全然違う畑でやってきて、しかも若輩だというのに、この存在感。堂々たるものだ!俺の好きな孫平次はよう!

次回、第41話。「泣きそうだ 泣かせてくれよ 孫平次」

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