「月下の花」キャラ雑考 セザル・ズロムについて

謎の美少年、セザル・ズロム。彼については、なにを書いても、小説本編の、ネタバレにしかならない。

だが、書きたい欲求が、筆者をとめることができなかったので、書きたいことを記す。

(1)「僕」という一人称を使うのは、セザル・ズロムだけである

小説「月下の花」のなかで、「僕」と、くちにすることが出来る人物は、ただひとり、セザル・ズロムだけである。ほかの登場人物が、例えば、ガラリアが東京上空に行き、座間家のとなりのヨシ坊が登場し、ヨシ坊が、一人称でなにかしゃべったとしても、それは「ぼく」あるいは「ボク」であって、けして「僕」ではない。

読者が、文中で、漢字で「僕」と記述されているところをみつけたら、それは、セザルのせりふだ。

(2)セザル・ズロムの年齢は、ガラリアの3つ下である

「月下の花」における、第25章までの、彼の来歴を、おさらいしてみよう。

第11章で、セザルの父親、ミズル・ズロムは、自分のムスコについて、

「ガラリアより3つ年下である。」

と言ってるので、セザルが、ガラリア(21歳)に初めましての挨拶をした、第17章のとき、彼は、満18歳である。

(3)セザル・ズロムは、作中一番の美少年である

セザルは、超絶ウルトラスーパー美少年である。ガラリアも、ユリアも、ひとめで、彼に夢中になったほどだ。その上、かなしそうな表情を見せるだけで、女性ばかりか、男性まで、「かわいそうに、どうしたんだい?」と同情してしまうのだ。彼にであった誰をも、とりこにしてしまう、無敵能力を備えている。

こうした彼の魅力は、悪魔的ではあるが、非現実的ではないと、筆者は考えている。セザルのように、誰からも愛される好人物は、じっさい、いるものであるから。

(4)セザルのつづりは、ジュリアス・シーザーのシーザー部分と同じである

セザルは、フランス語名で、Cesar、読み方は「セザール」であるが、本編では、父親の ミズル・ズロム とおなじように、ファーストネームをカタカナ三文字でそろえたいと思い、セザル。セザル・ズロムとした。

英語では、Caesar、すなわち、シーザー。ロシア語では、Царь、ツァーリだ。そしてイタリア語では、Cesare、そう、カエサルである。

このように、彼のネーミングには、大物である、有能である、という意味を、登場そうそう、読者にわかってほしいという願いを、こめている。セザルは、「月下の花」が進行するにしたがって、どのような行動をとるのか。第25章までの彼は、多分に、間諜(スパイ)的な行動が見うけられるが、将来は、カエサルがごとき、帝王になるのかもしれないし、ならないかもしれない。ただ、セザルのネーミングには、二重の意味がこめられている。

(5)詳しくは書けないが、セザルという名には意味がある

せざるをえない

という意味である。セザルをえない。間諜的行動は、やりたくなくても、せざるをえない、のである…ああ、やっぱ、なにを書いても、「先に小説を書けや!」と自分で自分にツッコミを入れることになってしまうなあ。

ただ、この文章で、あきらかにしておきたい点がある。彼のモデルである。

(6)セザル・ズロムの絵的モデル

セザル・ズロムは、俺のオリジナル・キャラクターである。原作アニメ「聖戦士ダンバイン」に、ブル・ベガー艦長のミズル・ズロムは登場するが、ミズルにムスコがいるという設定は、俺の創作であるし、セザルの容姿などの特徴も、もちろん俺の創作である。

だが、実は、アニメ「聖戦士ダンバイン」にも、ちゃーんと、セザル・ズロムは、登場しているんである!!しかも、セリフつきで!さすがセザル君、アニメのほうにも出てるなんて、ぬけ目がないね!ってゆーか、俺がそのアニメキャラから想起して、セザル・ズロムを作ったんだけどねッ!

第4話「リムルの苦難」である。オーラマシン、バラウを操縦するガラリアさんは、森で行方不明になったリムルを探しているが、ブツブツひとりごとを言っている。彼女の愚痴に、後部座席の若い兵士が、こたえて、ふたりが会話するシーンである。話題は、もっぱら、バーン・バニングスへの陰口である。

このキャラの態度があったから、俺は、セザル・ズロムを思いつくことができた。アニメの彼の容貌は、ドレイク軍の下級兵士の軍装であり、フルフェイスのヘルメットをかぶっていて、背中にたれる黒髪、小麦色の肌。けっこうな二枚目にも見える。彼の特徴を、もっと美しいものに、美しいものにと、書きあげたのが、セザルだ。アニメとちがうのは、瞳の色である。アニメでは、瞳は漆黒のセル絵の具でぬられていたが、小説のセザル・ズロムは、青い瞳にした。また、髪の色も、アニメでは漆黒だが、青い瞳が映えるよう、栗色にした。

セザルの容貌のモデルは、アニメの第4話に登場する、名前はないが、セリフはある、サブキャラなのであった。

(7)セザル・ズロムの性格

アニメのガラリアさんには、友達がいない、みたいに、見える。だが、第4話に登場した、この、髪の長い少年兵は、孤独なガラリアさんの、話し相手をしてくれたのだ。ガラリア・マニアの俺には、そんな彼の存在が、ありがたかった。彼のような部下が、ガラリアさんのそばに、いつもいてほしいと思った。

原作アニメ「聖戦士ダンバイン」の主人公は、ショウ・ザマである。ショウの周囲には、チャム、キーン、マーベル、ニーなど、複数の人物が存在する。主人公が生き生きと動くためには、その周囲に、性格や考え方の異なった、複数の人物がいて、主人公の言動・行動に対して、それぞれが異なる反応をしめす必要がある。それら複数の、異なった人物と、精神的交流をもつことによって、主人公がどのような人物に育ってゆくのかが決まる。

キャラクターひとりひとりの性格を、先にこまかく設定しておき、彼らを戦わせること=愛しあうことによって、主人公の人格が形成される。キャラクターとキャラクターが出会うことにより、物語が、つまり人生が、進行する。これが、俺の小説手法である。

「月下の花」という、ガラリア・ニャムヒーが主人公の小説を作るためには、アニメのガラリアさんの周囲にいる人物だけでは、少ないのだ。上司のバーン・バニングス、相棒のトッド・ギネス、恋人のゼット・ライト。アニメには、こんだけしかいない。これでは、足りないのだ。

主人公としてのガラリアに、必要な人物とは、まず第一に、家族だ。肉親がいない彼女のために、後見人として、ミズル・ズロムを置いた。

つぎに、もっとも必要な人物、それは、女性の親友である。このために、ユリア・オストークを創作した。

もうひとり必要な存在は、忠実な部下である。なおかつ、理知的であることが肝要だ。セザル・ズロムは、ガラリア・ニャムヒーの配下、守備隊に志願して入隊した兵士で、彼女のために、誠心誠意、尽くし、働く人物である。腹に一物あるらしいが、それは、ガラリアを裏切ることには、けしてつながらない、なにか他の目的のためなのである。

彼がどうして、ガラリアの部下として、友愛ある行動をとるのか。理由はひとつ。セザル・ズロムは、容貌だけではなく、性根の美しい男だからである。まごころを、思いやりを、持っているひとなのである。ここのところが、俺が小説を書くさいに、もっとも重きを置いている点だ。人間として、正しいのか、どうか。セザルは、ゼラーナによる空爆で、非戦闘員が殺されたことに、心底から、怒りを感じる。リムル姫にあこがれる幼女が、死にひんしても、姫様への愛情をしめしたことに驚嘆し、また、リムル姫が、それをかえりみないならば、許せないと感じる。

彼が、ものごとに対して、どのように感じるか。他者が苦しんだとき。自分が他者を苦しめたとき。思いやりのあるひとであること。セザル・ズロムは、たぶん、弱者がしいたげられることを、何よりも嫌い、人々が平等に、幸を享受できる世の中であることを、何よりも願うひとなのだ。

彼が、戦士になったのは、家庭の事情からである。仕事を選ぶことが、できない身分であった。ドレイク・ルフト配下の有力諸侯である、ミズル・ズロムの総領息子、長男でありひとり息子であるからだ。

そうでなければ、きっと彼は、吟遊詩人か、紀行文作家か、そういう生業(なりわい)で、人生をおくりたいと思っている。

(8)セザル・ズロムのしゃべりかた「〜さ。」にもモデルがいる

セザルのきわだった特徴として挙げられる、つーか、俺がそう設定している、

「〜さ。」

という、彼のしゃべりかた、くせ、文中での特徴、これにも、ハッキリと、モデルが存在する。

「そうさ、そうさ。僕のしゃべりかたでさ、いちいち、〜さ。って言ってるのにはさ、モデルがあるのさ!」

吉田戦車のマンガ『学活!つやつや担任』の、おたまじゃくしの教頭ジュニア。

なにを隠そう、カニを隠そう、教頭ジュニアのしゃべりかた、いちいちぜんぶに「〜さ。」がつく、これこそが、セザルの「〜さ。」のモデルなのだ!!

これをいちばん、書きたかったのさ!!

2013年2月26日

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