「月下の花」におけるバイストン・ウェル地図について

テレビアニメ番組「聖戦士ダンバイン」における、バイストン・ウェル地図は、公式設定に存在する。だから、それを見たいと思う人は、解説書籍なりを、ご覧になるよう、おすすめする。

『ロマンアルバム・エクストラ62 聖戦士ダンバイン』(昭和59年、徳間書店刊)が、わかりやすく、詳しい地図を掲載している。

俺が書いている小説、「月下の花」は、バイストン・ウェルという名の異世界が舞台であり、ガラリアが住むアの国や、ビショット・ハッタ王が治めるクの国など、原作アニメ「聖戦士ダンバイン」と同じ国名、地名が登場するし、各国の位置関係や、敵対関係、同盟関係なども、原作に準拠している。俺は小説を執筆するにあたり、前出の書籍をひらき、バイストン・ウェル地図を見て、東西南北を確認しながら、筆をすすめている。

ただ。

だけれども。

原作アニメ「聖戦士ダンバイン」におけるバイストン・ウェルと、俺が書いてる小説「月下の花」におけるバイストン・ウェルとでは、地図上において、相当な違いがあるので、この記事では、俺オリジナルのバイストン・ウェル地図について、解説しておきたい。

なにが違うって、距離感がまったく違うのである。

数年前、「月下の花」の読者で、なおかつ、原作アニメの方を、ぜんぜん見ていない人から、このような質問を受けた。

「ガラマニさん、こんにちは。「月下の花」を、読んでいて思ったのですが、アの国とか、クの国とかの、国(くに)の広さって、例えば、美濃の国とか、尾張の国とか、それぐらいの広さですか?読んでいると、そんな感じがします。」

ええ、まったく、その通りなのである。

まず、ドレイク・ルフトは、斎藤道三がモデルである。だから、ドレイクの居城、山城ラース・ワウとは、岐阜県岐阜市の金華山にある、岐阜城(岐阜市大宮町)に、位置すると思い描きながら、俺は、「月下の花」を書いている。

(1)アの国は、美濃の国と尾張の国

アの国とは、美濃の国(岐阜県美濃地方)と、尾張の国(愛知県一宮市、稲沢市など、そして名古屋市までの地域)とが合体した面積を、想定している。

アの国王、フラオン・エルフの居城、エルフ城は、名古屋城のことである。(ことであるってゆーか…だいたい、そこらへん。)

岐阜城が、ラース・ワウ。名古屋城が、エルフ城。まずここまで、頭に入れてほしい。入らない人は、グーグルマップ等の、文明の利器を使うといい。

(2)ルフト領は、岐阜県美濃地方。ラース・ワウ城下町は、岐阜県岐阜市

さて次に、ドレイク・ルフトの領内の地理について、岐阜市周辺地図と照合しながら、説明しよう。

ラース・ワウの城下町には、ガラリアの親友、ユリア・オストークの家がある。ユリアの実家は商家で、強獣の甲殻を売る豪商、オストークの店である。怪獣さんのカラは、オーラ・バトラーの装甲の原材料である。

「その平民の、家業はなにか」

「商家です。キマイ・ラグや、ガッターの殻を、ラース・ワウに納品しております。ルフト領内では、強獣の殻を、一手に握っておる、豪商です。平民でも、没落した騎士よりは、豊かな暮らしをしておりますし、召使いは主人を、あるじ殿、と呼ぶような身分ですな。ミズル殿も御存知でしょう、城下町に店を出している、オストークの店です」

「ああ、あの大店(おおだな)か。」


第11章「禁、破られる」より
この、オストークの店とは、岐阜市柳ヶ瀬商店街の、まるぶつである。実在のまるぶつは、百貨店であったが、近鉄百貨店に代わり、現在は、中日ビルに、なっている。岐阜城(金華山の尾根に位置する岐阜公園)から、中日ビル(岐阜市柳ヶ瀬通)まで、歩いて30分程度である。ラース・ワウから、オストークの店までの距離も、それぐらいである。なおかつ方角も、ラース・ワウから見て、城下町の商店街は、南西に位置するわけである。岐阜城と柳ヶ瀬との位置関係と、まったく同軸である。

バーン・バニングスの父親、バニングス卿が住む屋敷、通称バニングス邸。見渡す限り、青々とした牧草地がひろがる。牧場の中央に、平屋の豪邸が、青い屋根が、東西にのびている。これがバーンの実家である。
ラース・ワウより、東方へ馬で1時間走ると、バニングス家の領地に入る。濃いピンク色の甲冑姿のバーンが、林をぬけると、8年前、ガラリアが草花を摘んでいた丘に出た。馬上のバーン・バニングスは、あの日の出来事を思い出していた。

14歳の士官学校生だったわたしは、自宅から、馬で通学していた。あの日は、学校の休みの日で、うるさい父のいる家にはいたくなくて、若駒に乗り、この丘までやって来た。すると、小さな女の子の、泣き叫ぶ声が聞こえた。


第14章「父と子」より
バニングス邸とは、岐阜県各務原市の、自衛隊基地である。広大な敷地は、航空自衛隊の滑走路が、ひろびろ感的なモデルなのだ。領主ドレイクの屋敷、ラース・ワウ(岐阜城)から見て、バニングス邸(各務原市の自衛隊基地)までは、南東へ、ほんの数キロメートルである。こんなに近くに実家があるのに、バーン・バニングスは、勤務先、兼、宿舎である、ラース・ワウ(岐阜城)にいながら、3年も、実家に顔を出さなかったわけであるから、どんだけオヤジに会いたくないのか、その程度が推し量られる。

さて、主人公ガラリアの立ち位置を、岐阜市周辺地図で、確認してみよう。
ある晴れた日、ガラリアは1人で森を散歩していた。きれいな花々が咲き乱れる丘を見つけて、随分遠くまで来たな、と思っていた時。
(中略)
「下郎めらが!ここをバニングス家の所領と心得てのことか!」


序章「女、幼くして、少女と呼ぶ」より
ガラリアが散歩していた森は、岐阜市芋島である。国道旧21号線に沿って、東へと歩いているうちに、彼女は、岐阜市から出てしまい、バニングス領(各務原市)に、たどり着いてしまったというわけだ。ガラリアとバーンが出会った場所は、各務原市那加である。

そしてガラリアと、バーン・バニングスが通学する、ルフト家運営の士官学校は、岐阜県立病院(岐阜市野一色、現・岐阜県総合医療センター)のあたりに位置する。野一色は、ラースワウ(岐阜城)と、バニングス邸(各務原基地)の中間に位置する。

ドレイク軍参謀、ミズル・ズロムの自宅は、ズロム邸と呼ばれる大きな屋敷だ。ミズルの総領息子、セザル・ズロムの実家である。
我が邸宅は、ルフト領の南端にあるので、南方の、フラオン王直轄領に向かった可能性もある。密偵たちが追跡調査したところ、愛馬に乗ったセザルは、領内の西方に広がる、深い森へと入って行ったと判明。

「西の森か、あの辺りは、あの騎士の領地だが、セザルはどこまで行ったのであろう」

あの騎士とは誰であるか、読者諸兄は、覚えておられるだろうか?


第11章「禁、破られる」より
このズロム邸は、岐阜市加納の、加納城である。加納城跡は、JR岐阜駅の南側に位置する。引用文中の「我が邸宅は、ルフト領の南端にある」と合致する。ルフト領は、木曽川べりまでなのだ。

そして、バーンの最初の愛人、イザベラ・ロゼルノ夫人の屋敷。彼女の領地は、西の森と呼ばれている通り、岐阜市の、西の方にある、岐阜市西荘(にしのじょう)が、地名そのものも、位置も、モデルである。バーンが、次いでセザルが通ったロゼルノ邸は、岐阜市民病院(岐阜市鹿島町)のあたりに位置する。

原作アニメ「聖戦士ダンバイン」の第1話、「月下の花」では第18章「敵はダーナ・オシー」に登場する、円形競技場。
夕方 17:00 円形競技場

ラース・ワウからほど遠い郊外、ルフト領においては、南方に位置する地点に、古い石造りの競技場がある。今夜ここで、領民を無料で招待した催し物があるのだ。園遊会を楽しみにした、何千人もの平民たちが、がやがやと列を成し、開場今や遅しと競技場外苑に集っていた。


第18章「敵はダーナ・オシー」より
もう、おわかりだろう。え、わからない?この円形競技場とは、木曽川べりにある、笠松競馬場が、位置的、風景的なモデルである。続けて、同じ章から引用しよう。
「国境の警備は、どうなっておったのだ、バーン。円形競技場は、領内でも南よりであるのに、北辺のギブンからは、連中が遠路、我が領内を横断した事になるぞ?この不始末、何故であるか。」

「ハッ、調査致しましたところ、敵ゼラーナ隊は、我が領の南側より、侵入したと判明致しました。」

南、と聞いたドレイク様はじめ、ガラリア、ミズル殿がどよめいた。警備隊長であるわたしは、報告を続けた。

「南側は、フラオン王の直轄領であり、警備隊は、ギブンの北側を重点的に見張っておりましたので…奴らは、競技場の位置、警備の手薄な地点、園遊会の時刻等を、事前に知った上で、周到に狙ったと思われます。」


第18章「敵はダーナ・オシー」より
これを、実在の地名で、書きかえてみよう。
「国境の警備は、どうなっておったのだ、バーン。笠松競馬場は、岐阜県の南端であるのに、郡上八幡のギブンからは、連中が遠路、我が領内(岐阜市、各務原市、関市、美濃加茂市)を、横断したことになるぞ?この不始末、何故であるか。」

「ハッ、調査致しましたところ、敵ゼラーナ隊は、木曽川を越えた南側、すなわち、愛知県一宮市木曽川町より、侵入したと判明致しました。」

木曽川町、と聞いたドレイク様はじめ、ガラリア、ミズル殿がどよめいた。各務原市出身であるわたしは、報告を続けた。

「木曽川町は、フラオン王の直轄地であり、警備隊は、郡上市と接する北側を重点的に見張っておりましたので…奴らは、笠松競馬場の位置、警備の手薄な地点、園遊会の時刻等を、事前に知った上で、周到に狙ったと思われます。」
おおーッ、すげえ、わかりやすくなった!え、わからない?グーグルマップ使ってください。

いかがであろうか。狭い。実に、狭い。筆者である俺の育った、俺が住んでる街の中で、起こった出来事を描いている小説が、「月下の花」であることが、俺の脳内地図を晒すことによって、たいへんわかりやすくなったと感じるのは、筆者と同郷の、ダンバインファンだけであろうと思う。

(3)アの国は、東海地方の中央にある

さて、次に、アの国全体と、他国の位置関係を、東海地方の地図と照合しながら、見ていこう。この記事、見出しはバイストン・ウェル地図なのに、話しがどんどん、日本地図になってゆく。

アの国の中に、ドレイク・ルフト領(岐阜県美濃地方)があり、南方に、フラオン・エルフの国王直轄地(一宮市から名古屋市まで)がある。なんと、一宮、稲沢、名古屋という、広大な地域が、名鉄沿線が、すべて、アホな王様、フラオン・エルフの領地なわけである。なんという、良質な領地だろうか。そりゃ、ドレイクが、ほしくもなるわけだ。

(4)ギブン領の位置が、原作との最大の違い

ニー・ギブンの実家、ギブンの館。原作アニメ「聖戦士ダンバイン」では、

ラース・ワウ(北)

ギブンの館(南)→エルフ城(東)

という位置関係なのだが、ココが「月下の花」最大の(?)変更箇所で、ギブン領は、ルフト領よりも、北側にあるのである。若干、北東方向に。

ギブンの館(北東)

ラース・ワウ

エルフ城(南)

この変更は、アトラスが戦死したケミ城戦のストーリー上、クの国と、ミの国と、そしてギブン家との国境が隣接していることが、必要だったからである。
ドレイク様は、今日のこの事態を、前々から準備していたのだ。遠いケミ城で、今朝、ビショットが攻撃を始める事は、打ち合わせした上、そこへわたしを派遣する事も、全て、あらかじめ練られた作戦だったのだ。

「そうか、姫様の誕生日に、ニー・ギブンを呼んだのは、隣国ギブン家を、クの内乱に関わらせぬように…気付くのを、遅滞させるためだ。そして、祝宴の接待に、ガラリアを抜擢したのは、恋人への攻撃を、悟らせぬようにとの策、そうですな、ミズル殿!」


第9章「さらば、我が不滅の恋人〜後編〜」より
したがって、ラース・ワウを岐阜城と見立てるならば、ギブンの館は、郡上八幡城である。ちょっとこの例えは、無理をした。なんとなく、そのへんである。

(5)クの国は滋賀県、ミの国は岐阜県飛騨地方、ラウの国は富山県

アの国の西側に隣接し、ドレイクとは同盟国である、クの国。これは、岐阜県の西側に隣接し、岐阜とは、ぜんぜん同盟なんかしていない滋賀県が、位置的な、あくまで位置的な、モデルである。

クの国(滋賀県)と、アの国のドレイク・ルフト領(岐阜県美濃地方)との国境にある、アトラスとガラリアが逢瀬した、アトラスの別荘は、たぶん、関ヶ原のあたりにあると思う。

ミの国は、湖が多いという描写をしているから、この記事をここまで読んだかたは、琵琶湖のある滋賀県がモデルかと思われるかもしれないが、方角が違う。あくまで、あくま〜で、位置的な想定上のモデルでしかないので、このへん、おおざっぱに見てほしい。ミの国は、湖のほとりの軍事要塞、レッド・バーの砦を擁し、巨大な人口水底基地がある。この基地は、御母衣ダムがモデル…と、言いたいところだが、さすがにそこまで、実在の施設をモデルにしてはいない。

ラース・ワウ(岐阜城)から見て北方であり、さらに北にある大国、ラウの国(富山県)と、つながりが深いミの国は、さしずめ、岐阜県飛騨地方である。そういえば、エレ・ハンムや、パットフット・ハンムの服装は厚ぼったく、ミの国って、寒い国なのかなーなどと、今、考えながら、テキトーに書いている。

(6)リの国は三重県

ここまで読んでくれて、ありがとう。ほぼ、テキトーに書いている。アの国の南西に隣接する、謎の国家、リの国は、位置的にいったら、三重県に相当する。

(7)シーラ・ラパーナのナの国は?

ナの国の地図的モデルにかんしていえば、テキトーではない。ドレイク・ルフトのモデルは、俺内ではっきりしている。斎藤道三である。道三は、他国に侵攻する以前に没したが、その女婿、織田信長は、すごくドレイク・ルフトに似ている。ラース・ワウ(岐阜城)のドレイク・ルフトが、エルフ城(名古屋城)を支配下にしたなら、それは、方角こそ逆だが、尾張の織田信長が、美濃の稲葉山城を掌握したことを連想させる。

ドレイク・ルフトは地方領主で、下克上の世に生き、他国を制圧して、成り上がろうとしている。

一方、伝統ある王家であり、アの国とは、海をはさんで、地理的な隔たりもあり、今はまだ、ドレイクを敵国とは見なしていない国、それが、処女王シーラ・ラパーナの、ナの国である。

彼女のモデルは、今川義元である。だから、ナの国は、静岡県なのだ。


狭いぞ、バイストン・ウェル!!

2014年6月25日

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