「月下の花」

第20章 戦士ガラリア・ニャムヒー 〜後編〜


 オレンジ色の軍服を、今朝から着たままのガラリア・ニャムヒーは、服の中、素肌の汗ばみを感じ、窮屈そうにハイネックの襟をつまんでいた。

 ここは守備隊兵舎、二階建ての一階、談話室である。隊の面々は、ここに集まり、軽食をとったり、会議をしたりするのが常であった。

 本日、午後に出撃する下士官を集め、隊長ガラリアは、年長の青年兵に囲まれ、なお軍服の中を、濡らしている。初陣前の壮行会を兼ねて、ここで昼食をとることにしたのだが、ガラリアは、今朝からとどまる事を知らない性欲が、食欲に勝り、並べられた皿の上、フォークが進まないでいた。

 21歳の女の子は、ガヤガヤと集っている、年上のおにいさんたちを見渡し、心の中で、ブツブツ、

(あれは、ナシ。ありえない。あいつも、埒外。こいつは、どうかな。よく見れば、顔はさほどまずくないし、私に優しいし。ううむ、しかし、褥まではなあ…後腐れがな…こいつ、もしも私とやってしまったら、恋人気取りで吹聴しそうだ。そうなったら、ユリアになんと言い訳したものか。)

 ガラリアの軍服の、中身を濡らすものは、汗だけではない。ガラリアの花は、眼球が捕らえる獲物に、アリかナシかの判定を下し続けているのだ。目が、男を見ると、脳が思考するより早く、花が、ナシ!こっちは、ややアリ!と即座に反応する。

 花の中心、奥の子宮口と入り口とが、ヒクヒクと動けば、脈アリ。更に蜜がヌルヌル出てきたならば、男の方は、GOあるのみである。

 GOと言ったらGOなんだよ!

 反面、彼女の花が「冗談ではない。」とキュッと固く閉じれば、ナシである。花の本物を見た事のない読者諸兄は、イソギンチャクを思い浮かべてくれたまえ。つーかもう、とっととどこかで習って来るように。

(ううむ!改めて考えてみると、褥の相手選定は、自分の好みだけで決めてよいものでは、ないのだな。公表して恥ずかしくない相手、完全に2人だけの秘密にすべき相手に別れるのだ。

例えば、ゼット・ライトならば、顔は全然ダメだが、身分や人徳の点では、皆に威張ってよい相手。ユリアも、彼ならば納得するだろう。
 一方、セザル・ズロムならば、顔は最高だが、お父上の手前、そういうコトをしてしまうのは、かなりヤバイからな。ユリアには妬かれてしまうし。

あぁ…食事が手につかない。私のくちびるに触れるものは、食べ物よりも、剣の先っちょがほしいのだ。はふぅ、苦しい。なんという事態だろう。3時間後には、出撃だと言うのに、この落ち着かなさ。私のパンティーはずっと濡れっぱなしなのだ!)

 さて、いま談話室の昼食の膳に、名無しのハンカチの青年は確かにいたが、彼は、ガラリアから一番離れた末席に、隠れるように座っていた。

 彼は、わざと大柄な男の横に腰掛け、なるべく、ガラリアの視野に入らないようにしていた。さっき、部下セザルから、

「ガラリア様をお好きなら、やっちゃえばいいのさ。」

と鼓舞されたものの、そんな人生最大の正念場(彼にとって)にあって、目的の女性のそばに座れるような、鉄の心臓は持ち合わせていない。

 ハンカチ君は、震えるフォークを皿にガチガチ、あてながら、茶色い軍服の波、うねる彼方に浮かぶ、鮮やかな青い髪の頭頂部を、眺めているだけであった。

 一方、そのガラリアは、周囲の男たちの、顔や体格を一つ一つ凝視し、アリか?!ナシか?!の判定をし続けているのだが、彼女は、ハンカチ君が、判定対象圏内に座っていないことにすら、気がついていなかった。

 ガラリアの隣りには、ユリア・オストークが座っており、出撃する友人に、激励の気持ちを贈りたくて、仕方がない様子。

「ね、ガラリア様。わたくし、今日の作戦の、勝利を心より祈願しております。そして下士官の先輩方が揃って行かれるわけですから、きっと領民の仇をとって下さると信じており…」

言いながらユリアは、友人が、そわそわと落ち着きなく、自分の励ましに、

「うん。うん。」

と肯きながらも、ボーッと垂れ目を泳がしている様子に気がついた。

 気がついたが、ユリアは、利口な女性であるから、機械の館のあるじのような、

 彼女は出撃前の緊張で、ボーッとしているのだ

などというウスラボケた推察は、しない。ガラリアの心細さと、それを補填すべき存在はなんであるかを、先刻、見抜いた。

 黄緑色の髪の乙女、ユリアは、20歳にして処女であった。ガラリアに語ったところに拠れば、Bまで(死語。筆者、さすが昭和40年代生まれ。)なら、何回か経験があったが、花に剣が挿入されたことはなく、現在、彼氏いない歴20年であった。

<※昭和50年代以降生まれの読者へ注
Aまで=クチとクチのブチュー
Bまで=ペッティング←これもすごい死語である。オッパイ揉まれたり、お尻をな〜でなでされたり、花に触られたりまでの行為を指す
Cまで=本番。挿入そーにゅー
Dまで=ご懐妊>

え?では、Bまでした男とはどういう関係だったのだ?と、以前、ガラリアは尋ねた。ユリア曰く、

「城下町の男友達ですわ。実家から、士官学校に通っていたわたくしが、同級生の騎士たちに、いじめられたと悲しんでいるのを、彼は、たびたび、慰めてくれて。夜、実家の窓辺から抜け出して、彼に会いに行ったり。そうこうしている内に、まあ、そういう感じに。」

ガラリアは更に質問した。

「んん?ではその男は、ユリアの恋人だったのであろう?褥までは、いかなかったのだな。」

するとユリアは、苦虫を噛み潰したような顔で、はん!と一声吐き捨てた後、

「恋人までも、いきませんでした。だって、あいつ、わたくしにそういう事をしておいて…他の女にも、してたんですのよ!数回のデート後、それがすぐ、発覚しましたの。ふん!ですから、わたくしの方から、ふってやったのです。あんなの、恋人歴には、数えませんわ!」

 どうやら、ユリアは、その経験から、やや男性不信になっているらしい。だからなおのこと、ガラリアは、まるでその平民男のように、優柔不断になっている本日の自分は、ユリアには隠すべきだと考えた。

 さて、処女ユリアは、女友達が、<男性>からの情愛と、且つ抱擁を求めている事は、理解出来たのだが、処女さん故に、女が抱かれたいと思う人は、唯一人、特定の男性だけであると思い込んでいた。

(ガラリア様は、恋する方、バーン・バニングス様に、優しい言葉をかけてもらいたいのだわ。でも、あの御方は照れているのか、何故だか、彼女にはそっけない。ああ、こんな時に、彼がガラリア様を、励まして下さったなら、あたたかく抱きしめて下さったなら、どんなに心強いことでしょう!)

 ガラリアから見れば、ユリアは世事に長けているし、性的な情報にも詳しい、頼りになる友達ではあるが、彼女に今の気持ちを訴えたら?

(ユリアには、言えぬな。今の私が、男10人中、2人までアリだなどとは…

 イヤですわーガラリアさまーっ幻滅です、貴女は国宝級の美男子しか受け付けない、えげつない面食いだったのではないですかー、百歩譲ってゼット・ライト様ならば、顔はイボイノシシでも、お人柄がよろしいですから、賛成も出来ますが、なんですって、あいつもこいつもアリですか、そんなガラリアさまなんか、イヤですわー

 と、非難される事、必定だ。)

 褥経験1名なガラリアは、ふう、とため息をつき、食卓を立ち、屋外へ出た。ユリアは、バーン様はどこかしら、と、青い長髪の騎士団長を探しに出かけた。




 守備隊兵舎は、下士官の住みかであるから、中に入れない下級兵のセザル・ズロムは、出入り口からゾロゾロ出てきた上級兵の群れに、ハンカチ君を見つけて駆け寄った。

 セザルは小声で、上官に耳打ちした。

「どうでした?お食事の席で、ガラリア様とはお話し出来ましたか。」

うつむくハンカチ君は、淋しげに黒い瞳を地面に落とし、

「…いいや…だって、彼女の隣りには、ユリアが陣取ってて、入れる雰囲気じゃなかったし、それに…」

 どうせそんな事だろうさ、と、素人童貞の言い訳を予想していたセザルは、ヘルメットの小窓から、青い目を周囲に走らせ、標的・ガラリア・ニャムヒーが、馬に乗ろうとしている姿を見た。ハンカチ君も、オレンジ色の軍服が、鞍に手をかけた様子を、ウスラボケ〜ッと眺めている。

 するとセザルは、ものも言わずに上官の片腕をぐいっと掴み、ガラリアのそばへと、強制連行するではないか。ハンカチ君は、「あっ、あっ」と情けない、小声の悲鳴を上げた。

 乗馬しようとしていたガラリアは、ヘルメットの下級兵、麗しきセザルの、類稀な美声を耳にし、即座に振り返った。もうこの時点で、彼女のパンティーには、セザル君、アリよアリよアリなのよ、でもダメなのだ、ミズル殿にバレたら困るのだ、じっと我慢の子なのだぁー液が染み付いている。

「ガラリア様、すみません。名無しのハンカチ殿が、隊長にお話しがあるとのことさ。」

ハンカチ君は、ヒィーと喉ちんこを震わせた。まさか、セザル、ここで直接、彼女に、

 ヤラせて下さい

なんて言わせるつもりなのかよ?!

「うん?なんだ、セザル。(と、その付録。)もはや、出撃予定時刻の2時間前だ。私は、ドロの所へ行かねばならぬ。」

行かねばならぬのは、出撃するハンカチ君も同じである。セザルは、ガラリアの馬の隣りに、上官の馬を引き寄せ、乗るように促した。棒立ちのハンカチ君は、ただただ、セザル先生の引率に従うのみ。

 セザル先生は、ハンカチの青年と、ガラリアが乗馬してから、こう告げた。

「そこでですね、ガラリア様、お願いがあるのさ。それは…」

馬上のハンカチ殿は、心中で、ケ・ゴーンの滝の上に立っていた。

 セザル、何を言うつもりだろう?あぁッ、心臓が、息が苦しい、剣はしなびて、だれんとズボンの中で小さくなっている。馬の鞍が硬く、俺の剣と袋を、下から突き上げるのが痛い。あぁ、ケ・ゴーンの滝。アの国、自殺名所が、俺を呼んでいる…助けて、セザルしぇんしぇい!

 セザル先生は、スラスラと、桃色の舌を滑らした。

「ガラリア様、ダンバインの横に並べてあるドロ、2機は出撃しない事になったでしょう。除外した14号機と15号機は、聖戦士殿の目につかない内に、機械の館の格納庫に収容しなければならず…それはハンカチ殿と僕の任務なのですが、僕は、その任は辞退するように、上官殿に命令されたのさ。」

 ガラリアは、きょとんとした顔で、喋るセザルを眺め、次いで付録のハンカチ君を見た。ハァ?なにを言っておるのだ、彼は。ドロの収納なんて、操縦して、飛んで、置いて来るだけだ。機械の館からの帰りは、そのへんの馬を使えばよいだけ。往復、15分もかからない、簡単な役目だ。

 ヘルメットの中央、セザル・ズロムの青い両眼は、キラリ!と光り、上官ハンカチ君に<突撃命令>を下した。

「僕、ドロ運びの任務を、謹んで、ガラリア様に、献上するように言われました。というわけで、ガラリア様、僕の代わりに、ハンカチ殿と一緒に、ドロ、置いて来て下さいね。じゃっ!僕はこれで!」

言うや否や、セザルは、持ち前の駿足でその場を去った。残されたハンカチの青年は、先生の指示の意味が、90秒間理解出来ず、90秒間、ガラリアのまくしたてる、

「ハァ?おい、名無しのハンカチ、どういう事だ。なんで私が、ドロ運びなぞを、せねばならぬのだ。だって私は隊長だぞ。トッド・ギネス氏らと打ち合わせをしておきたいしだな。おい、名無し!ハンカチの!聞いているのかッ」

を、言の葉ではなく美しき音声とだけ…そして90秒後、彼は、

(セザルは、俺が、ガラリアと2人きりになれるシチュエーションを、作ってくれたんだ…いよいよだ。生きるか死ぬか。彼女に告白して、嫌われてしまったら、俺は、もう、ケ・ゴーンの滝行き決定…)

 人生の、断崖を悟った青年の剣は、シワシワのブヨブヨではあったが、青年の、脳裏には、午前に、セザル先生が放った言葉、

「賽は投げられたのさ!」

が、こだましていた。そうだ、もう決めたんだ。もう我慢しないって決めたんだ。

 ヤリたい。俺はガラリアとヤリたい!

 立てよ剣、燃えよ剣。いざ、出陣だ。名無しのサブキャラよ。
君に、名前を付けておかなかったこと、この場をお借りして、筆者、心より陳謝申し上げる。正直、すまんかった。




 プラチナ・ブロンドの光沢まぶしい青年、ニヤけた笑顔に特徴のある男前、トッド・ギネスは、桃色の軍服に身を包み、草原に置かれたダンバインの操縦席にいた。彼は、周囲の喧騒を、気にしていないそぶりで頬杖をつき、あくびをして見せた。

 ダンバイン3体の操縦者の内、トカマクとショウは、草の上で立ち話し。彼らは、今からダンバインの<試運転>をするだけだと思っている。トカマクは、ショウに、お前のバイク、アスペンケードはどこに置いたのかと尋ねていた。

 トッドは、ジャップご自慢のマシンは、ラース・ワウの正門内側に、大事に駐車してあったのを、誰に聞かずとも知っており、

(いざって時は、あのホンダを使って逃走する手もあるな。燃料は、ほぼ満タンだった…このダンバイン、空域特性はいかほどか、まだわからんし、見たとこ、この国、上空の警護にばかり注意が行っているから、脱走にはバイクが適しているかもしれん)

と考えていた。23歳のアメリカ空軍兵は、バイストン・ウェルという外地において、常に自分の生き易い道を確保しておく思考のみを働かせていた。そしてトッドは、なお大あくびをし、

(新型マシン、ダンバインの試運転か。嘘つけ。ははん、ショット・ウェポンもバーン・バニングスも、猿芝居しやがって。俺たちよそ者の不慣れを利用して、隣国に侵攻する気だろう。つまり、今から行く空域は、最も危険な国境地帯ってことだ。おそらく、敵の主戦力が迎え撃つだろうな。昨夜のテロへの報復か…それなら、諸外国や、宗主国にも言い訳が立つか。なんにせよ、敵さんは、ドレイクに戦争を始めさせる、いい口実を作っちまった。

 ならば今のところ…俺はこの国に籍を置き、状況を見ておくとしよう。)

 垂れ目を青く輝かせるトッドは、遠方で、ドロ15号機に乗り込むガラリアの青い髪を、ふと視界に入れた。

(ブルーの髪か…下の毛もかな…バイストン・ウェルの女の味見は、まだだ。今晩、娼婦を注文して、地上の女との違いを、試しておくか。白人、黒人、東洋人の女、抱いた感じは、皆違った。ここの女は、一見白人系に見えるが…俺は、欲しい女は必ず手に入れる主義だ。あの子も、いずれ頂戴してやるぜ。パンティー濡らして待ってなよ、ガラリアさん。)

 さてつまり、トッド・ギネスは、ガラリアを、好みのタイプの、いい女だとは思っていたが、アトラスが彼女に出会った際のような、劇的な一目惚れでは、なかったのである。

 トッドにとって、この時期、ガラリア・ニャムヒーは、バイストン・ウェルの、大勢のいい女の<一人>に過ぎなかった。この時期は。彼が、己が宿命を悟るのは、まだ先の事である。




 2機のドロが、ひゅうひゅうと飛び、数分で機械の館に到着。
大きな格納庫の入り口は広く、暗い室内に2機は滑り込むように降り立った。

 ドロ15号機の操縦者、ガラリアは、オレンジ色のヘルメットをとり、なんで私がこんな任務を、とブツブツ言いながら、機外へ出た。すると、彼女の次に着地したはずの14号機の操縦者は、もう、ガラリアを迎えるように格納庫内、石畳の床に立っていた。

 今、ここのあるじ、ゼット・ライトは留守だ。彼は、2機が後にして来たダンバイン置き場付近にいたのを、ハンカチ君は目で確かめていた。

(あの人、ガラリアにぞっこんだもんな。知られちゃ困る…俺が、今からする事は、誰にも知られちゃいけない…)

 ガラリアは、突っ立つハンカチ君の前を素通り、

「行くぞ。」

暗い屋内から、光りの差し込む広い入り口へ、向かおうとした。青い短髪の女が、行くぞ、と声をかけた相手は、彼ではなく自分であって、そこにいる彼が、なにか答えるとも、思っていなかった。

 すると、行き過ぎる彼女の、背後から、一人の男の、言葉が、耳に入った。

「ガラリア。待ってくれ。」

その声は、小さな声だった。だが、待ってくれ、という言葉の意味、ガラリア、という自分の名前は、鮮明に彼女の脳裏に刺さった。呼ばれた女のつま先は、言われるがままに、瞬時に停止した。

 天井の高い格納庫は、ひんやりとした空気に浸され、外の明るさに比して、暗さが、静けさが増し、夜の雰囲気に似ていた。背後数メートルに、彼を置くガラリアは、全然、緊張が無く、脳裏に複雑さ無く、心に動揺無く。ただ、呼び止められた時点の位置に、呼び止めた男に背を向けて、いた。

 彼女は、この時、何も考えてはいなかった。今朝から、沸き立っていた色情を、感じることも無かった。古い昔、素肌の自分を、褥で抱いた男を思い出すこともしなかったし、先日、自分を置き去りに、婚約した男に、思いをはせることも、しなかった。

 心は、一つの、この場所に、停止していた。前線から排除された2つの兵器と兵器の間に、2人の男女が、ただ立っていた。

 そう。ガラリアは、薄緑色の瞳を閉じず、青い眉を、赤い唇を、少しも動かさず、背後に立つ男が、言おうとしている事を、


   知っていた。


 予感は無い。想像も無い。でも知っていた。立ち止まった時から、知っていた。そして女は続く言葉を、待った。

 男は、女の後ろ姿に向けて。出会って4年以上、誰にも語らず秘めてきた想い人へ、ひたすら押し黙り見つめてきたその後ろ姿へ、世界で一番いとおしい、白きうなじへと向かい、言葉を開いた。

「ガラリア…きょう…初陣で、俺は…ひどく緊張している。だからってわけじゃないが、俺、どうしても、今、君に、言っておきたいことがあるんだ。」

ぽつり、ぽつりと口から漏れる、彼の声を、彼女は停止したまま、青い髪の後頭部で聞き続けた。髪の一筋も動かす事なく、ガラリアの後頭部は、ハンカチ君に促していた。聞かせてくれと。

 彼には、それがわかった!ガラリアが、自分の告白を聞いてくれる気であることが!あの勝気な、あのよく喋る彼女が、自分の前を、いつも駆け抜けて行くだけだった彼女が、じっとたたずんで、待ってくれているのだもの!

 青い短髪の、後ろ髪は、格納庫の冷えた空気で、汗が乾いたうなじにサラサラとかかり、微動だにしない。ハンカチ君の脳裏に、彼女と出会った儀礼式の思い出がありありと蘇る。

 男ばかりの正規軍に、士官学校を卒業したばかりの、たった16歳の、かわいい女の子が、入って来たあの日の感動を!
 ああ、あの式も、こんな薄暗い室内だった。騎士団長ミズル殿に紹介されて、入場してきたあの子。青い短髪が、真綿のように白い肌に映えて、トコトコ歩いて来た君は、まるで…神殿に降誕した、女神!

「ガラリア!俺は…俺は…初めて会ったときから。ずっと、ずっと、君が!」

ハンカチ君の黒い瞳には、今、彼女のいる場所で、初めて涙が溢れた。

 君は、ずっと俺の手の届かない所にいた。正規軍内でさえ、うだつの上がらない、はすっぱの兵士、モテた経験なんか生まれてから一度もない俺、抱かせてもらえる女は、金で買った商売女だけ。

 そんな俺が、魂の底から愛した君は、出会ってすぐに、外国の高官の恋人になってしまった。そして、君は恋人を失い、絶望の中にあった。そんな君に、どうして俺なんかが、愛を口に出来ただろうか。好きだ、と言えただろうか。

 言えなかった。今日まで、言えなかった。でも、もう、だめだ。俺はこのままではだめなんだ。言わなければ、俺は、好きな子に、こんなに愛している君に、告げなければ。

俺は、男に生まれてきた意味がない。今日まで生きてきた甲斐がないんだ!

「ガラリア、俺…」

白いうなじは動かない。彼のくちびるは、動く。

「す…好きだ!

ガラリア、俺は、おれは。君が…好きだ。ずっと、ずっと、俺は君だけを、好き、だ…」

 間髪を置かずガラリアは答えた。


  「知ってる。」


 背中から発せられた彼女の声は、低く静かで、揺ぎ無かった。

 ガラリアは、まだ何も考えていなかった。恣意で、口に出す言葉を選んでいなかった。無作為に、その答えは女の口から生まれた。その答えは、たぶん、彼女が初めてハンカチ君を見とめた日から、決まっていた。知ってると。

 年嵩の青年の、長きに渡り沈んでいた瞳からは、歓喜の涙が流れ出て、愛しい君に、自分のハンカチを…渡した日を思い出していた。その日が、ガラリアが、彼という人格を、この広い世界から見つけ出し、そしてガラリアという一個の人格の内部へと、入室する事を許可した日であった。

 ラース・ワウの古い城壁のてっぺんで。はしごをよじ登って上がった砲台で。大砲のすすで、手指を黒くしたとき。あなたは、自分のハンカチを差し出して、私に言ったのだ。


「ほら、これで拭けよ。手が、そんなに汚れてるじゃないか」


 今日のこの時。ガラリア・ニャムヒーと、彼女にハンカチをくれた青年とは、互いの情が、あの日から、一度も途切れる事なく、連綿と続けられて来た事を、今日に至るまでの、この遠い遠い数年間を!両者が同時に感じ合っていた。

 男の情熱が、彼女のよどまない返答に、堰をきった。

「あぁ…ガラリア、ガラリア…俺、おれ…」

言うだけで、立ち位置を動かない男に、女は背中を向けたまま、相変わらず低い声音で、ゆっくりと語り始めた。

「あの時、お前が貸してくれたハンカチ。まだ、返してなかったな。あの日の、夜、手洗いして、私の洗面室に干して…返そうと思っていて…まだ…どこに置いたかな。確か、化粧台の引き出しに入れたままだ。」

ハンカチの青年は、語るうなじへ、答えた。

「持っていてくれ、ガラリア。あのハンカチは、君に、あげたんだ。俺の、気持ちだよ!」

すると、またも間髪を置かず、彼女の背中は、答えた。

「ありがとう。」

その声は、静かで凛々しくて。そう、動揺していない時の、いつもの君、俺が大好きな、真剣で、真面目な君だ。ああ、ガラリア、俺のガラリア。たまらなく、君が好きだ。どうしたらいい?君に、この想いのたけを、訴えたいんだ。君を抱きたいんだよ!

「ガラリア、頼みが…ある。」

「なんだ。」

「……」

 格納庫は、数秒、沈黙した。機械の館の工兵は、別棟か、屋外にいて、ここにはガラリアと彼の、2人きり。いや、この広い広い世界で、この長く辛い人生で、いまという瞬間には、私とあなたの、2人しか、いないのだ。

 21歳の女は、相変わらず、彼の顔は見ず、開かれた瞳に視界を持たず、耳と肌だけで、彼の言う、続きを、待っていた。空気は流れない。時間は止まった。彼女は、戦闘に出る時刻が迫っている、客観時間を忘却した。

 時計は時刻を刻み、私は命を刻む。分や秒とは、それ自体、意味を持たない。時間とは、歴史を生み出す者ではない。時間は私の中に在り、積む時間、過ぎる時間に、意味を持たせる者は、時計ではなく私なのだ。

 言え。言ってくれ。私の生まれた意味を、今は、あなたが言ってくれ。私はもう知っているのだ。あなたが、私に教えてくれた愛とは、代償を求めない愛であることを。そして抱き合う行為とは、愛の代償として、私があなたに、与えるものではない。互いが、出会い、心を通い合わせて来た証しを得るために、止まらない命を燃やすためにするのだと。

「…ガラリア、君の、うなじに… 一度だけ、くちづけさせてくれないか…」

 うなじが、ゆっくり、肯いた。ガラリアの青い後ろ髪が、前方へとこっくり、傾いて、うなじの白い肌が、彼の眼前に、広く現れた。




 バーン・バニングスは、今日はもう、ダンバイン置き場に来る予定は無かったし、来たくもなかった。

 ラース・ワウ城内の執務室にいたのに、嬉々とした顔のユリア・オストークは、ずかずか入って来て、わたしにガラリアの見送りをしろと言う。出来るか、そんなこと。

 理由1:騎士団長が壮行に出ては、聖戦士に作戦の意図を悟られてしまう。

 理由2:ダンバイン置き場には、いやな奴らがいる。わたしのガラリアに色目を使うトッドと、わたしの愛人に手を出し、あまつさえ脅迫してきたセザル。特にセザル・ズロムには、異様な殺気があるのを、わたしだけが、知っている。

 そんな中で、ガラリアに向かって

「頑張って来いよーハッハッハ、お前ならば楽勝だハッハッハ」

 なんて言えるか!

 しかし、わたしはユリアが苦手だ。この女は、ガラリアの腹心の友であり、ガラリアより冷静で、頭の切れる厄介者なのだ。彼女を、わたしは嫌いではない。これが、ガラリアのそばにおってくれれば、何かと安心な面はある。だが。

「ねっ、バーン様。ガラリア様は初陣ですのよ!しかもショット・ウェポン様が、出撃するドロを少なくしてしまって。ダーナ・オシーは手強いのです。ダンバインは頼りにならないのです。危険が危ないのです。ガラリア様は女の子なのです。だってなんだか、だってだってなのです。ですからバーン様。激励をしてあげて下さいまし。ねっ。ねっ。ねぇっー!」

 だってなんだか、だってだってなのは、わたしの方だ!

 執務室で騒ぎ立てるユリアを、なだめ切れず、結局わたしは、ズルズル引きずられて、出撃するオーラ・マシンの並ぶ草原まで来てしまった。

 ところが、なんだ、肝心のガラリアが、いないではないか。聖戦士たちはもうヘルメットを被り、ダンバインの操縦席に着き、準備万端、ショウ・ザマなどは、

「ねえ、まだ出ないの?早く飛んでみようよ。ガラリアさんは?あの人が引率してくれるんじゃないの?」

 トカマクなどは、

「行くよッ行くよッ」

やる気満々。やな奴トッドは、

「ガラリアさんが一緒でなくっちゃ、俺、やだよ。バーンさん、彼女どこだい?俺がお迎えに行ってやろうか?優しくエスコートして来てやっからよぉ。」

あ゛ぁーッ!どいつもこいつも、わたしの気も知らんと、得手勝手ばかり言いおって。なんでいちいち、わたしをせっつくのだ、なんでわたしが責任者扱いなのだ、ああそうか、わたしは騎士団長だものな。

「ユリア!わざわざ呼び立てておいて、守備隊長がおらぬとは、どういう事か。」

 ユリアは焦って、ガラリアの行方を知ってそうな部下に…キィぃい…よりによってこの男か。

 栗色の長髪を、再度ヘルメットに隠した下級兵セザルは、ユリアに問われ、しらっとして答えた。

「さあ?僕、知らないさ。」

さしものユリアも、出撃予定時刻を15分も過ぎて、隊長が不在というバツの悪さに、セザルを問い詰めた。

「だってセザル。ガラリア様だけではないわ。ドロ13号機で出るはずの、名無しのハンカチさんもいないじゃないの。あなたの上官は、どこなの?」

「さあ?僕、何も聞いてないさ。」

 ここダンバイン及びドロ置き場には、軍内の、ガラリア贔屓の連中が集結しており、居並ぶ中には、機械の館のあるじもいる。ゼット・ライトが、自分の根城の方角を見やり、

「さっき、ええと、もう1時間ぐらい前になるかな?機械の館に飛んでいったドロがあったと思ったが…あれかな、ひょっとして。すまんなユリア、俺がボーッとしてて気付くのが遅れたんだよ。バーン殿、きっとドロの不整備かなにかで、ガラリアさんに手間を取らせたんだ。機械系統の不備があったとしたら、俺の不手際です。すまないが、もう少し待っていて下さい。見てきますから」

 セザルは、ヘルメットの中で、ホウ、とため息をついた。

(いやはや、ゼット・ライトは、目端は利くし、情に厚い事と言ったら!この人、ドロ2機に、あの2人が乗って行ったのを、ちゃんと知ってたくせに、ひょっとして、だってさ。さりげなく、ガラリア嬢とユリア嬢の立場までかばって、自分のせいだと言うなんてさ。出来た男さ。まったく、バーンとは正反対さ。)

 ゼットが、自分用ピグシーに乗ろうとした時、遠来から、2頭の馬が、全力疾走して来るのが、全員に見えた。ユリアが歓びの声をあげた。

「ガラリア様ですわ!あぁ、ハンカチさんも。」

 駆けてくる馬上の2人を見た、この場にいる者たちは、あの男女が、姿をくらましていた小1時間中に、何をしていたのか…どうして、2人していなくなっていたのか…なんら、複雑な感想は抱かなかった。聡明なゼットでさえも、親友ユリアでさえも、2人は、何かの都合で、遅れたとしか思わなかった。真相を知っているのは、首謀者、セザル・ズロムだけであった。

 バーン・バニングスは、自分の前を、わき目もふらず行き過ぎる馬上の女を見、彼女が馬を降り、最前列のドロ1号機の前で振り向き、

「すまぬ!皆、遅れたが、早速、試運転を始めよう。聖戦士殿!行きますぞ。各々方、私に続かれませ。」

と、高らかに宣言し、乗り込む姿を見たが、愛する女の、その頬が、満ち足りた愛欲で紅潮していたのに、まったく気がついていなかった。

 ダンバイン3体の先に並ぶ、ドロ1〜7号機、はさんで後尾、ドロ8〜13号機。末尾のオーラ・ボムに、そそくさと乗り込んだ、遅刻して来た下士官が、誰だったのかも、バーンはまるで眼中になかった。

 ただ、バーンは、ユリアに強引に連れられて来てみたが、よかったな、と思っていた。

 ガラリアは、随分と落ち着いているようだ。あの様子ならば、彼女の実力からして、初陣は成功するであろう。心配は尽きるわけではないが…でも、よかった。わたしは、こうして彼女を見守るだけでよいのだから…

(ガラリア、お前ならば、大丈夫だ。お前が有能である事、いつも一生懸命働いている事、ガラリア・ニャムヒーは、我が軍随一の戦士である事を、わたしこそが、誰よりもよく知っているのだ。だから、わたしは、この作戦を任せたのだ。頑張れ。頑張って来い。わたしの好きな人よ…)

 ユリアも、素早くドロに乗り込んだ友の、落ち着いた様子に、安堵した。

(やっぱり、バーン様が来て下さっただけで、あんなに整然とされて。よかったわ。さすがバーン様、見送るだけでも、彼女には万人力ですのね。うふ!)

 そして、次々と、機体は天空へと飛び立って行った。先頭にガラリア機、真ん中にダンバイン、最後尾にドロ13号機…見上げるアメリカ人、ゼット・ライトは、無神論者であった。ショットが、ガラリアを説き伏せるために言ったという、出鱈目を思い出していた。

(ふん、地上では13が良い数字で?15は悪いだって?ドロを削減させるために、よくも、ガラリアたんに嘘八百言いやがって。

…ま、いいさ。13が、縁起が悪いからって、バイストン・ウェルでも、地上でだって関係ないぜ。日本じゃ4が悪い、8が良い、どれも現実的に意味を持つわけじゃないんだから。)




 ドロが飛ぶと、ひゅうひゅうという、大気の抜ける音がする。空を行く隊列の最後尾、13号機のパイロット、ハンカチ君は、操縦桿を、力強く握りしめ、武者震いとはこういう感じなんだな、と、コクピットの窓に広がる、森林の緑と空の青を、すがすがしい意欲に満ちて、見渡した。

 先頭を行くドロ1号機には、<俺の>ガラリアが、古参の下士官2名を同乗させ、飛んでいる。見える。彼女の飛び方、距離は遠いが、俺には、あれが彼女の機だと、はっきりわかる。

 俺の機、13号機は、俺の希望で、同乗者はいない。俺一人だ。なぜって、さっきまで、初戦闘に怯えていた俺は、ガチガチ震える姿を、同期の男たちに見られたくなかったからだ。

 でも、今は、違う理由で、13号機は、俺一人でよかったと思っている。俺の剣、まだ、感動で、濡れている。さっき彼女に、きれいに舐めとってもらったけど、あぁ思い出したらまた!俺の剣は、操縦席でこんなに硬くなって、先を飛ぶガラリアの機を見守っているんだ。

「ああ、ガラリア!俺の女神。さあ、いよいよ俺たちの初陣だね。敵を打ち負かして、一緒に凱旋しよう!よし、行くぞ、俺は騎士の男だ。戦士だ。昨日、円形競技場から、平民たちの遺体を、自宅まで送ったら、皆に、騎士さま、ありがとう、ありがとうと、感謝された。ああ、これが俺の仕事なんだって、わかったんだ。我らが領民の仇をうつぞ。
 
 そして、俺は、俺の女を守るんだ!」

 気が弱く、いつもオドオド緊張してばかりだった彼は、今、強い決意に満ち、黒い小さな目は、男らしい覇気に燃え上がっていた。目立たない、情けなかった顔は、凛々しき戦士の表情に変わっていた。

 先頭のドロ1号機、ガラリアも、13号機の彼と同じように感じていた。彼女は、同乗の下士官2名の前で、落ち着き、けして、寸刻前の情事を顔に出す事はなく、ただ、薄緑色の瞳を、きらきらと耀かせて、作戦の段取りを頭に思い描いた。

(私の先頭隊、1〜7号機は、ダーナ・オシーを狙い、落とす。ゼラーナには8〜13号機で、援護射撃をさせないように攻撃するのだ。頼んだぞ、13号機の、あなた…帰還したら、約束通りに…)

 ガラリアと、ハンカチ君。敵領に攻め入る作戦で、斥候としんがり、つまり最も危険な任を務める2人の男女は、つい先ほどの、格納庫での出来事を、心にしっかと秘めていた。




 うなじに、くちづけさせてくれと言われた。

 私は、彼に言われるままに、肯いた。この男を、受け入れる気になったのは、私にとっては易い理由だったかもしれない。彼は、<いい人>だった。見てくれは美しくはないが、不細工とまではいかない。大好きではないが、いつも優しくしてくれるから、安心して付き合える、仕事仲間だった。

そして私は、彼が優しいのは、私に恋をしているからであると、充分過ぎるほど、知っていた。長年、私は、彼の好意に甘えているだけだった。しかし、彼を受け入れようと思ったのは、決して、それへの「お礼」などではない。

私は、されたい、と思ったのだ。彼の肉体の感触を、知りたいと思ったのだ。そうか…彼が、はっきり言ってくれるまで、私は、気付かなかったのだ。私も、彼のことを、男性として、頼りに思っていたこと、愛情を感じていたことに。

振り向かず、私は待った。彼の軍靴が、一歩、二歩と、こちらに歩み寄って来る音が聞こえる。後ろから、抱きしめられるのだろうか?

…早く、して。お願い、もう待ち切れないのだ。花はヒクヒク動いて、快感への期待に震えている。

彼が、私のすぐ後ろに立った。私は、目を閉じて、首を少し傾けて、うなじを彼に突き出した。荒い息遣いが、聞こえる。

「…はぁ、はぁ…あぁっ…」

そんなふうに欲求を抑えないで、触れて。早く。じれて、私は口を開いた。

「私の気が変わらぬうちに、したら?」

彼は、出会ってから、一番大きな、はっきりした声で、私の名を呼んだ。

「ガラリア!」

触れてくるのは、彼の手かと思っていた、うつむく私は、剥き出しのうなじの素肌に、

 いきなり、濡れた、彼のくちびるだけが押し当てられたから、

 チュ、と音をたて、彼の熱い唾液と、唇の弾力が触れられたから、

「アァッ!!」

 何年ぶりだろう、他人に、男にこの声を聞かせたのは。あまりの快感に、悲鳴をあげ私は、両足が麻痺してくずおれた。手にしていたヘルメットは、カランと乾いた音をたて、石畳に落ちた。倒れる私を、後ろから、がっしり力強く抱きとめた、ひと!

 一方、ハンカチ君は、ガラリアの喘ぎ声の大きさ、麗しさ、そして倒れ込む彼女を、咄嗟に抱きしめ、初めて抱く、恋しい女の、体格の豊かさ、感情の激しさに、驚愕していた。感動がやまなかった。

(ガラリア、君は。そんなに感じやすかったのか!うなじに、キスだけ許されて、したら、君は平然として、行ってしまうかと、思ったのに。俺の接吻で、こんなに感じて、ああ、全身の力が抜けてしまうほどに!)

 そこから、無我夢中になった男は、彼女の肩を腹を、ぎゅっと抱き、無防備に傾けられた、白い首筋を背後から、飢えた犬が如く、しゃぶりついた。チュッ、グチュ、と唇と舌の音をたてて、ハァハァと興奮した息を隠さず、女自体に飢え、初めて好きな女に触れた男は、女が最も欲する行為に及んだ。つまり、自分を激しく求めてくれる男になったのだ。しかも首筋は、ガラリアの最も感じる性感帯である。女は、歓びにむせび泣いた。

「アァん!あ、あ、あ…あぁ…ううん、アッ!」

ソプラノのかわいい声で、喘がれ、全身を委ねられた素人童貞は、もはや少しもためらわず、突然、彼女を抱き上げた。

「?!」

貧弱に見えたのに、私を軽々と、そして堂々と抱き上げた、たくましい腕の中、ガラリアは驚き、男の胸板から、彼の顔を見上げて、

「な、なにをする?!」

訴えても、今度は彼が黙り、女を抱えたまま、カツカツと、ハンカチ君は、一直線にドロ15号機に向かった。格納庫の一番奥、ガラリアを抱いたまま、彼は、片手の指先でドロのドアを開いた。

 機内の、操縦席は、横並びで3人が座れる。ドアは、器用にばたんと閉められた。ここで?ガラリアは、初めて拒絶の声をあげた。

「や、やめないか…いや、いやだ、こんな所!」

 操縦席に、ガラリアを押し倒した男は、彼女の訴えを聞き入れず、仰向けの彼女にまたがってしまった。上から、見下ろす男の顔は、もう最後までしなければ収まらない顔。白い頬のガラリアは、ここに至って、ハタと我に返り、迷った。

(褥をする気なのか、いまここで?!だって…だめ、私には、好きな人が他にあるのだ。この男は本命ではない。しかも、もう、出撃時刻ではないか…上に乗られているとはいえ、私がその気になれば、こやつを殴りつけて撃退する事は、簡単に出来る。でも…ああ、体は感じてしまっている。どうしよう?どうすべきか?

…どう、したいのだ、私は…)

 ガラリアの逡巡にお構いなく、ズボンの中の剣を、完勃起させた、飢えた男は、

「うぅ、ガラリア…もう、俺は死んでもいいんだ…」

らんらんと燃え上がるまなこの、ケダモノと化して、彼女に覆い被さって来た。口に、口を押し当てようとされて、ガラリアはもがいた。

「いやぁっ!」

首を激しく反らして、抱かれながらキスに応じない彼女に、もう、嫌われる事を怖れない、興奮し切った男は、それでも優しく、言い聞かせた。

「ガラリア、俺のガラリア!抱きたいんだ。もう我慢出来ないんだ。」

「いや、いやぁー!だめぇ…いや、いやん」

 その言い方が、声が、なんてことだ、このかわいさは。
 俺の腕の中で、ほっぺを真っ赤に染めて、ぶるぶる震えているガラリア。腕力で、俺に負けるはずがない子なのに、イヤイヤ言いながら、身をよじるだけ。まるで巣から落ちた小鳥のように、掌中の、青い羽毛のガラリアは、俺のなすがまま!

 ハンカチ君は、かつてアトラスを虜にしたガラリアの魔力に、めまいがした。

 これが、ガラリアか?!

 信じられない。普段は、きりりと強気な口調、騎士口調。俺が、ショットの命令に服した事を、叱り付けた言い方のきつさ。男に、そそと従う<女らしい>部分など、ひとつも持たない<女戦士>。それがガラリアという女性の、本性なのかと、俺も、誰もがそう思っていた。

 ところが、どうだい?触れたとたんに、へなへなと腰を落として。さっき、俺が抱きとめなければ、石の床に倒れてしまっていたぞ。そして、操縦席に押し倒した彼女は、モス・グリーンの垂れ目をとろんと、うっとりと、涙で潤ませて、感じて鳴くんだ。

「うぅん、いや、いやだぁ…許してっ。だめっ、許して…」

なんて言いながら、ガラリア…俺の胸当ての甲冑に、すがり付いて、赤い吐息を、赤い唇から漏らしている。なんという豹変ぶりだろう?戦闘意欲に燃える、凛々しいガラリアも、性愛に溺れる、かわいいガラリアも、どちらも同じ、ガラリアだったのか!

 許して、だって?俺なんかに向かって、許してって?泣き出しそうな顔で、見上げるガラリアが、

「だって、いやだ、私、恥ずかしぃい…いやっ、いやぁーん」


 いやぁーんって君ぃ。


 は…ハァッ、ハァッ…


 はぁあああああッ!た、たまらん!


「うぅ〜ッ」

 雄犬は一声うなり、ガラリアの青い髪を両手で鷲掴み、とうとう、赤い口紅に、自分の唇を押しつけた。しゃぶり、舌を入れ、むさぼり味わった。これが、ガラリアの口、俺の大好きな女の子との、初ディープキスだ。

 男はどこで習ったのか、恐ろしくやらしー舌使いで、グチュグチュと連続でガラリアの口中に、舌を出し入れした。大量のヨダレが、21歳の女神の喉へ流し込まれ、女神の口元からも漏れ、白い頬に、男臭い唾液がべっとりとついた。更に、男はガラリアの口元を手指でつまみ、開き、撫で付けながら、開かせた口中に舌を差し込む。下唇を指で刺激しながら、上唇を舌で刺激する。こんな凝ったキスは、ガラリアは初体験であった。

 ハンカチ君は、抱いたとたんに、カワイク豹変したガラリアに、激しく興奮していたが、ガラリアの方も、ヤリ始めたとたんに、荒れ狂う男と化したハンカチ君に、驚愕していた。

(こ、この人。モテない系うらなりと思っていたのに、この、凄まじきテクニカルメリットは、なんたることだ。キス、すごい上手ではないか。
あぁん…唾が臭い。オトコ臭い。舌をそんな風に回して。あぁッ私の、舌の付け根の、そんな所までレロレロ攻撃するなんて。いい。すっごくいい…ハンカチ君のキス、種目別、ポイント9.75が出ました。これは高得点です。)

どうやら筆者は、五輪の体操中継を見たらしい。塚原のムスコさんには、頑張ってほしいものである。

 一方、ハンカチ君のムスコさんは、ガラリアの軍服の、生地の上から、ぐいぐいと花を圧迫した。ドレイク軍の軍服には、股部分に防護甲冑がついているが、ベルトからぶらさがっている状態なので、めくり上げれば、そこにはズボンしかない。服地越しに、硬い剣が、ガラリアの花に強く押し付けられる。あぁん、恥骨に硬い剣が当たる感じ。久しぶり…いぃん…

 オレンジ色の軍服は、文字通り、なすがままに、された。唇をむさぼっていた男は、口を放したかと思うと、感じている女神の表情に見惚れ、

「う、うぉお」

とうなりながら、ベロで、彼女の頬を、文字通り犬のように舐め上げた。顎から目元まで、ベローッと。続けざまにベ〜ロベロ、ぜいぜい言いながら、耳の穴までレロレロ。指で、ガラリアの唇をくすぐりながら、耳の中に、ベロをマシンガン突き。鼓膜いっぱいに

 グチュグチュグチュゥ〜

の音声が挿入された。鼓膜に自分の悲鳴が反響する。

「キャァァァアッ!」

 感じるの、こんないやらしいこと、されて、私、こんなに感じちゃってるの。私の顔面と男のベロが、糸をひく粘液で繋がっている、こんなことが…したかったのだ…顔じゅうを、唾液まみれにされて、ガラリアは、もうこの雄犬の餌食になるしかないと、目を閉じて喘ぐのみ。

「アァン…くすん。イヤッ。ヘンなことしないで…」

 か、感じてる、ガラリアは、俺に、されて喜んでる。彼女はしどけなく、自分の親指を噛んだ。そしてうっとりした顔で、俺に、抱きついてくれたんだ!

 完全に狂ったハンカチ君は、いとしの君を、自分の一番好きな格好にさせようとした。寝転ぶガラリアを、ガウガウ吠えながら転がし、腹ばいにした。そして、彼女のおなかを持ち上げて、四つんばいになるよう促すのである。褥経験のあるガラリアは、アンアン喘ぎながら、もう一つの脳で考えていた。

(後ろからスル気なのだな。しかしぃ、お前とは初めてなのだが。普通、最初は正常位から、ではないのか。アトラスはそうだったぞ。
 こやつ?なにか、スル事が妙だ。私への愛情は充分わかるが、行為の順番が、一足飛びなのだ。いきなり後背位?
 あのな、普通な、服の上からチチを揉んで、次は上を脱がせてモロ乳房を吸って、次が、下だぞ。私に、きれいだよ、とか、好きだよ、とか、ささやきながらだ。チチにノータッチ、愛の言葉ナッシングで、なんで、キスの次が、もう四つんばいなのだ。舌技が、テクニカル過ぎるのも、なんかおかしい。)

 ガラリアよ。その洞察、まっこと見事である。ヤリ方が技巧的すぎる、順番がおかしい、それこそが、素人童貞の成せる技なのだ。どんなに取り繕っても、行為でバレバレなのだ。しかし、ガラリアは、「お前おかしいぞ。」とは指摘せず、されるがままになっていた。

 ドロ機内、横並びの操縦席(ソファー仕様)に、軍服で四つんばいのガラリア。ブルーのショートヘアーの耳元から、金色のロングピアスが、ぷらんとぶら下がる。男の眼前に、まん丸のお尻を隆起させ、肩越しに、オドオドした顔を振り向かせたガラリア。

 バックフェチのハンカチ君は、正に夢見心地であった。憧れの女神が、憧れのポーズ、四つんばい。目の前には、オレンジ色の、ぴっちりズボンに包まれた、でっかいお尻。四脚を振動させるガラリアが、俺を横目で見て、

「やだ。こんなの、いや…」

白い顔を、朱鷺色に染めて、訴えても、もう俺は許さない。君を、眺めてるだけだった俺は、もういないんだ。教練の後、君が首筋の汗を拭いたタオルを、こっそり盗んで自室に持ち帰り、タオルに顔をフンフンして君のにほひを嗅ぎ、ハァハァ、ナマ剣をそのタオルでくるんで、ハァハァ、白いのをそれに放出して、アァッガラリアんぁーって自慰してただけの俺は、もういないんだ。…ハンカチ君…辛かったね…

「ガラリア、言う事聞いて。いいよね?このまま、ズボン下ろすよ。いいよね?ね。ほら行くよ。」

 四つんばいのガラリアは、彼から体が離れてしまったので、頭が、かなり、冷静になってしまった。前戯キスだけで、男の体温から離され、体の熱情が、冷めかけていたのだ。こんな場所で、下だけ脱ぐなんて、トイレみたいで萎える。しかも奴の言い方が、

   とてもダサい。

 なぁにが、「いいよね?」だ。バーカバーカ。そんな事、この期に及んで、女に尋ねるな。ここまで来たら、強引にヤッてしまえ。バーカバーカ。と思っているのに、調子にのったハンカチ君は、ウヒャウヒャの笑顔で、オレンジ色のズボンを、ゆっくり、脱がし始めた。お尻の素肌が、ひんやりと外気を感じた。

「アァッ!イヤ、いやぁッ!」

さてこの「イヤ」は、「ホントの嫌」なのだが、素人童貞には、イヤの種別がわからず、まだ、ガラリアは喜んでいると思っており、目の前に現れた、彼女のでん部、白いパンティーに釘付け。ズボンはお尻の半分まで下りて、でん部の谷にぴっちり食い込んだ、綿の白さが…柔肌の香りが…ガラリアのおしり!割れ目!白目は充血し、鼻血が出そうだ。

 しかし、なすがままと思っていた女神が、ここで突然、いつもの女神さま口調に戻った。

「やめんか!」

女神は、ぴょんと跳ね返り、座った態勢のハンカチ君の正面を向き、両膝を合わせ腰掛け、そして彼を、いつものように叱り付けたのだった。

「もう、イヤ!もうお前なんか知らぬ!バカ。バカぁッ!」

 え?え?なんで?ハンカチ君も、いつものオドオドに戻ってしまい、怒りの形相になったガラリアを前にして、

「あ、あの、どうして。ああいや、そうか、だめか。本番は、だめって?そうだよな、あ、あ、あ、俺じゃ、ダメだよな?」

なんと情けなき事を言うのだ。おまえぇ、今の今まで、飢えた雄犬となって私を感じさせたくせに、もう、怯える子犬たんか。アウアウ言うな、この、ボケカス。

男は、てっきり、女に拒絶されたとばかり思っていた。するとガラリアが。

「だからお前は、バカだと言うのだ。もう!」

言うと、彼女は…俺の胸にすがりついて来た…ぴったりと抱きついて、また、吐息をもらして。俺の胸板に、豊満な乳房を、彼女が、押し当てて。そして上目遣いで、潤んだ瞳で。

「…抱いて…強く。抱いてったら!」

 怒ってたガラリアが、俺にはっきり求めてくれた。ハンカチ君は、上擦った悲鳴をあげて、恋しい女を抱きしめた。強く。

「うわぁ、ガラリアぁー!」

夢中で抱きしめた。彼女は、両手で俺の顔を、ぐいっと掴んで、彼女が俺に、キスをさせた。俺は、また剣を硬くして、舌で女神の口中をかき回し、甘い唾液を、グチュグチュ音をたてて吸った。ガラリアも、また反応して、ぎゅっと抱きついてくる。しかも両足を開いて、俺の腰にまたがってしまった。ああ、彼女は、正面から、抱き合いたかったんだな。

 ハンカチ君は、再度、我が物となった女神に、キスして、ズボン半開のお尻を撫でまわし、

「ああ、ガラリア、俺の女神。好きだよ!嬉しい、俺、もう、死んでもいい。」

彼女が、微笑んでくれた。俺の大好きなガラリアの笑顔!

「バカ。死んでどうする?だって…これからではないか。だって…うふぅーん…」


 次の瞬間、ハンカチ君は、本当に極楽浄土に逝きかけた。


 ガラリアの両手が、彼の勃起した剣を、ズボンの上から、ぎゅっと握ったからだ。

「ヒ、ヤァァアァァッ」

叫ぶ男にお構いなく、ガラリアは、この可愛そうな子犬たんの剣を、きゅっきゅっきゅっ、しごき続け、うふん、うふん。

「が、 ガラリアぁぁああーあーあー」

「うふん、なあ、名無しのハンカチ。気がつけば、時間が無いのだ。聖戦士どもを待たせている。でも、私、うふん」きゅっきゅっきゅっ

「ヒィ、ヒィ、いい、イイイ、あぁうわぁガラリアぁ」

「うふん、でも困ったことに、お前の剣は、こんなに腫れてしまって。私にこんなことをさせて。この落とし前は、どうつけてくれるのだ。うふん。」きゅっきゅっきゅっ、袋もふにふにふに〜

「あぁ、落とし前って…アッ!」

生地の上からしごいていた手が、彼のズボンの中に挿入された。女神さまの、白魚の手指が、素人童貞の、ナマの!剣を、きゅぅうう〜っと握った。

「アー アイヤー ァーァーァー」

「アイヤーとか言ってないで、私のことも、構ったらどうだ。ほら、ここぅ…」

ガラリアのズボンの中へ、前から、ハンカチ君の手先が招かれて、熱く湿ったパンティーを、ぐいぐいしてくれと彼女はせまる。今度は、男の方が、彼女のされるがままになった。歓喜と供に。しかしアレですな。本編のヒロインは、パンティーの上からぐいぐいが、格別にお好きなようですな。

女神ガラリアは、激しく喘ぎ始め、私だって、もう我慢出来ない…

(こいつの剣、アトラスのより、一回り小さいな。でも、物足りない大きさではない。ほどよく硬いし、先端の丸みも、イイ感じ…ええい、私をこんなに感じさせるなんて、どうしてくれよう!)

アンアンしながら、ガラリアは、何度もキスを求め、しごき、

「あぁん、来て、来て、指で…して。してったら!」

「ハァッ、ハァッ、う、うぅ…」

再度、雄犬となったハンカチ君は、憧れのパンティーの、中へ、指を。これがガラリアのお毛々かぁー!あぅぁ、花びらがー。ぬ、濡れてる。たんまり、濡れてるぅー…指で、して、と言われた。い、入れちゃっていいのかい?花に直に触れたら、彼女の声は、悲鳴となって、なお麗しい。

「アァッ!そこ、そこぅ。入れて…お願い、早く!」

ガラリアが大好きな、年上のおにいさん系(但し、素人童貞)の人差し指が、3年以上、男の侵入を許してない中に。おにいさん(素人童貞)は雄叫びをあげて、彼女を侵略した。男の骨太な指に、女神のひだが吸い付く。蜜が滝のように溢れる。ヌル、ヌル、ヌルん。

「はぁう、ガラリア!入っちゃった。入っちゃったよッ」

「い…いいッ!ああ、もっと、もっと、ああん、いいの、いいのぅ!」

軍服のガラリアは、男に犯される内側の快感に、もだえた。座位の体勢、自分で腰を上下させ、口から舌を出したまま、口元のよだれを隠さない君。

 なんて淫らなんだ、なんてきれいなんだ、君は。あぁ…

 もっと、して。もっといやらしく、私を犯して、あなた。あぁ…

そして、両手で握ったままの剣を、引っ張り、抑え、自分の花の中の、感度を良くしながら、彼をも、もだえさせる。お互いの手指で、相手をいくまで…真昼間の格納庫で、軍装の男女は、股ぐらだけを露わに、飢えた犬となり、吠えた。互いの陰毛を、手指でかき乱す。下の毛は、欲望の高まりと供に、粘液でからみ付いてゆく。

 2人は言葉らしい言葉を失った。男の耳には、ソプラノの悲鳴が、女の耳には、雄犬の息遣いが、耳元にはそれだけが、熱くこだまする。そして手と股の間では、

 グチュグチュグチュ

 きゅっきゅっきゅっ

の2音だけが。兵器ドロの中で、低く染み渡る。グチュグチュの中から、もっともっとの、蜜が溢れ出る。しごかれる剣の先端からは、おいしい透明な液が出て、女神の白魚の指を濡らす。ああ、おいしいのだ、男の液って。ガラリアは、剣から出てくる透明な液を、剣全体に塗りつけ、男のモノをもてあそぶ快楽に酔った。そして、いい、花がいい!彼の指先が、私の、一番感じるひだに当たってる。

「アアッ!いい、いいのぅ…そこ、もっと、もっとして!」

悶え狂うガラリア。憧れの女神が、初めて見せる淫靡な姿に声に、夢のような行為の連続に、ハンカチ君は、もう耐え切れなくなっていた。

「うぅ、ガラリア、俺、もうダメだ、出る、出る、うぁあ…」

女の手の中、剣は一気に膨張し、赤みを増し、ガラリアは、彼がイク寸前なのがわかった。より強く剣を握りしめ、ガラリアは叫んだ。私の、大好きな、

 あなた。あなたの、あれが、出ちゃうのだな?

「いやぁん、ダメぇ!いく?いくのか?あぁんっ」

すると、感動に猛っていた男の顔が、一瞬、白目をむき、口がだらしなく開いたので、即座にガラリアは

 私の大好きな、アレを、こぼしちゃ、

「いやーん!」

「うおッ?!」

 ハンカチ君は、彼の人生で、最高とか…てっぺんとか…そんな、表現では、なまぬるい、この世に生まれてきて、ホントによかったと、心から思う瞬間、産みの母に感謝する瞬間、ケ・ゴーンの滝が単なる観光地と化す瞬間を、迎えた。

 女神ガラリアは、俺の、爆発寸前の剣に、しゃぶりついて。女神の赤い唇が、素人童貞だった俺の、毎夜、シコシコ磨き三昧だった俺の。勃起剣をクチで受け止めた!

 天国よ。そはフェラの名よ。天国かなフェラ。女神ガラリアは、淫らな笑顔で俺を見上げ、唇を丸くいやらしく突き出し、俺の一番いやらしい剣先を、くわえた…ちゅむう〜って。その瞬間、男はイッた。

「アアアッ!ガラリアぁあー!」

 ガラリアの小さなお口が、いっぱい頬張ったモノから、びゅっ、びゅどばぁ、ドクドクドク、俺の白いのが、流し込まれた。夢中になって、両手で剣を包み、精液を吸い取る、チュウチュウ舐める、なんて淫乱なガラリア!

「うぐ、うぅん、ううん。」ごくっ、ごく…

俺のをぜんぶ飲んでる! ぁぁぁ ちいちゃなお口が、赤いルージュが、チュウチュウ。ベロを突き出して、亀頭をいやらしく舐め上げて。お、俺を、ガラリアは、剣をくわえたままで、

「うぅーん?」

って、きょとんとした顔で、見上げたんだよ…




 空をとぶ、オーラ・ボムを操縦する、2人、別々の機にいる男女は、格納庫で、服装を正しながら、話したことを、思い出していた。

 ふふ…操縦桿を握るガラリアは、ヘルメットの中に、微笑みを隠した。

 彼は、私がイってないじゃないか、と、なお私を抱こうとするから、もう出撃せねばならぬから、と、説き伏せたのだ。すると、なんだか、しょんぼりとした彼。

 ハンカチ君は、ガラリアが、自分とこうなった仲を、誰にも隠したがると思っていた。そうだよな、俺なんかと、出来ちゃったなんて、(最後まではしてないが)人には知られたくないだろうな。

 いいんだ、内緒の関係で、俺は…すると軍装の女神は、きらきら耀く笑顔で、可愛い声で、彼に告げた。

「では、名無しのハンカチ。今日の作戦から、帰ったら…そうだな、夕食を、一緒にする?」

「本当かい?!どこで?あ、君の食堂に、行ってもいいのかい?」

「いいや。あんな、しけた所じゃ、イヤだ。」

じゃあ、副団長専用食堂以外に、人目につかない、食事のとれる場所なんかあったっけ、と、彼は空を仰いで考えていた。すると、彼の女神は、彼の腕に、ぴたっと寄り添ってきて、まさに黄金の微笑を浮かべて、こうささやいたのだ。

「お前が、よく行くと言ってた、城下の居酒屋に、行ってみたい。」

「えっ!あ、あ、あ、だって、ガラリア。あそこは、軍の男どもが、いっぱいいるよ?…警備隊の連中も、機械の館の工兵も、みんな…」

「そこがイイのだ。私、新しい服を着て、きれいにして行く。お前と、行きたいのだ。連れてって!」

そんな場所へ、ハンカチ君ふぜいが、着飾った美人副団長と、2人きりで行くという事は、つまり。

アウアウ、声が震えたハンカチ君。つまり、彼女は、俺と付き合ってるって、ラース・ワウの皆に、公表してもいいと!

警備隊長バーン・バニングスより、機械の館の主任ゼット・ライトより、俺がイイのだと!

 ああ、母さん。俺を産んでくれて、ありがとう。俺、ガラリアを、恋人に…出来たんだよ!ガラリアを連れて、大手を振って歩けるんだよ!

また、ハラハラと泣き出したハンカチ君の、頬の涙を、ガラリアはキスでぬぐい、彼の手を、きゅ、と握った。彼は握り返した。

2人は、熱い手を、つなぎ、約束をした…作戦から帰ったら、堂々と、デートをしましょう。口に出さず、もう一つの約束も、していた。夕食の後には、一緒に寝ましょう、と…




 守備隊長、ガラリアの視線の彼方に、群青色の山並が、見えてきた。

 あれだ。13のドロと、3体のダンバインが飛ぶ、前方にそびえる、あの山は。

ドロ1号機、突撃隊長ガラリア・ニャムヒーは、古株の守備隊下士官たちに、力強く、号令を発した。マイクはドロ隊のみオン、ダンバインにはオフである。ソプラノの、高らかな宣誓が、1号機のマイクと各機のスピーカーを通して、オーラ・ボムを駆る戦士たちの耳に、響き渡った。

「まっすぐに、ギブン領に入る。イヌチャン・マウンテンだ!」

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