「月下の花」

第6章 ドレイク・ルフト始動


 お館様一人を乗せた、黒い馬車が、森の中を進む。ガラリア属する守備隊の騎兵一個師団が、これを取り囲んで護衛し、行軍は一路、クの国境を目指す。今日から、ドレイク軍と、クの軍との、合同軍事演習である。

 ドレイクは、一緒に行きたいと言う、妻ルーザを説き伏せ、ラース・ワウに置いて来た。馬車の中、領主の脳裏に浮んだのは、留守居を申しつけられ、ふてくされた顔の妻ではなく、母のドレスの後ろに隠れた、娘リムルの姿であった。

ドレイクを待ち、先に国境のアトラスの別荘に到着していた、警備隊長バーン・バニングスと、騎士団長ミズル・ズロムは、要塞の前に来て、馬上から高い石塀を見上げた。

「遠方から見ていたより、ずっと堅固な要塞でありますな、ミズル殿」

「うむ、ここはクの王領ではなく、先々代よりの、アトラス殿の御家の領地だ。昔から、幾度となく戦に耐えてきた城と見える」

馬上のミズルが、開門願う、と叫ぶと、木造の扉が開かれた。そこには、地面に立った、薄茶色の軍服を着た、懐かしいアトラスがいた。

「ミズル殿、バーン殿!よく来られた」

先方が、足で立っているのだから、客が馬上にいては儀礼に反する。ミズルとバーンは、すぐ馬から降りて、門をくぐった。するとアトラスは、歩幅を大きく歩み寄り、途中から駆け足になり、面長の整った顔は、子供のようなほほえみに満ち、バーンに飛びついた。

「おお、バーン・バニングス殿、お会いしたかった!」

と、長年会えなかった弟を抱くように、バーンの背中を、両腕で抱きしめ、青い長髪に黒髪がすりよった。

 バーンは、さっきまで、(このでかい屋敷で、ガ…あの女とイイことしおって。フン、ちょっと美男子で高位だからって、いい気になるなよ。そっちがクの国一番のオットコマエなら、アの国一番はわたしだー)と、ぶつくさ思っていたのだが、そのアトラスが、優しい笑顔で、自分を抱きしめ、

「バーン殿、あぁバーン!貴公のお手紙は、我が文箱の一番上に入れて、何度も読み返している。貴公のお手を見ると、バーン殿のりりしい姿が浮ぶのだ、ああ、2ヶ月ぶりか、懐かしいと言っても、よろしいか」

こんなふうに、無邪気に、惜しみなく情愛を訴えられ、その笑顔を見ると、バーンは、自分の嫉妬が、愚かに、思えた。

 そして、この騎士には、わたしは、ガラリアのことがあってもなかったとしても、尊敬の気持ちは変わらないであろう、と思った。

 抱き合う2人を、にこやかに見ていたミズルにも、アトラスは、ミズル団長!と挨拶し、両手で強く握手した。ミズルたちは、アトラスに案内されて、ドレイクを迎える準備をした。

 走る馬車の中から、ドレイクは、御者に命じた。

「ニャムヒーの、あれ、ガラリアとかいう騎兵をこれへ呼べい」

お館様のご下問と聞き、ガラリアはあわてて、赤毛の馬を、黒い馬車に駆け寄らせた。この時、初めて、ドレイクとガラリアは口頭で対面した。ドレイクは馬車を停車させていた。馬から降り、地面にぬかづくガラリアを、ドレイクは馬車の窓から見下ろし、

「ガラリアと申したな。」

「ハッ!守備隊員、下士官ガラリア・ニャムヒーであります、お館様」

「その方、クの親衛隊長と懇意であったな」

「はい、皆様方の御好意に甘えさせて頂いております、が、なによりお館様の、」

「よい。その方、アトラス殿に謁見する時には、わしの横につき、先方に取り次ぐ役を命ずる。この行軍の先頭に立て」

「先頭に…ハッ!ありがたき、お言葉。ガラリア・ニャムヒー、お役目はたして御覧に入れます!」

ガラリアは、赤毛の馬を疾駆させながら、興奮で踊る胸を静めようと、自分に言い聞かせた。

 私が、アトラスと恋人だから、この役目を命じられたのだとしても、落ち着いて立派に働いて見せれば、それは私の力であると、お館様に認められるのだ。私は、ガラリア・ニャムヒーとして、名を上げなくてはならないのだから。先頭に着いたガラリアは、守備隊長の男性に敬礼し、

「隊長。不肖、ガラリア・ニャムヒー、先陣つかまつります」

と、言うと、普段から、ガラリアの熱意ある働きぶりに感心していた隊長は、優しく笑って、

「頼んだぞ」

とだけ、言った。




 ドレイクが、アトラスの別荘に到着し、ガラリアがお館様を案内し、広い居間で、領主同士の謁見が行われている間、横に控えたミズルとバーンと、その末席に下がったガラリアは、なるべく恋人の顔を直視しないようにしていた。そういう気分が、花が感じるような気持ちが「萎える」ように、ドレイクやミズルといった、「おじさん」の顔を見るようにしていた。

 赤いビロード貼りの椅子に腰掛けたバーンは、隣りに座ったガラリアを、なるべく見ないように、肌の香りを吸わないように、アトラスへの羨望を感じないように、かといって、恋人同士に対抗して、自分の愛人ロゼルノ夫人のパイオツを思い出すと、勤務中に剣が硬くなってしまうから、やはりドレイクやミズルら、「おじさん」の顔を注視するようにしていた。これなら、萎える。

 ドレイクは、アトラスに向かい、やや不機嫌な目つきで、

「時に、アトラス殿。クの国王陛下は、おいでにならぬのか」

「陛下にあらせられては、ここ数日、お体のお具合が、かんばしくありませんので、何卒、ご容赦下さい。ドレイク閣下」

「お体が、ご不調と?それはご心配なことであるな。」

アトラスは、心配、と言いながら、我が王の様子を探っているドレイクの思惑がよくわかっているので、話しをそらした。

「御内室ルーザ様は、この度は、お連れでないので?」

「軍事演習に、軍人でない者は連れては来ぬよ。」

アトラスは、海千山千のドレイクと話しながら、国王の容態を悟られないように注意をはらった。王は、病弱ではなかったのに、先週くらいから、頭痛がすると訴え、医師に見せても、原因がわからなかった。陛下は、さほどひどくはない、過労であろうと、仰っていたが…なにか、臭う。先週と言えば、王弟ビショットを、わたしが失脚させた後からだ…




 会談が終わり、全員が屋外へ出た。ガラリアは、守備隊長の下へ向かい、赤毛の馬の鞍を点検したり、腰に携えた剣を付け直したり、していた。ミズルは、アトラスと打ち合わせに余念がなかった。バーンもまた、警備隊の陣頭指揮に当たっていた。

 アトラスは、ミズルとの、これから行う段取りが一通り済むと、

「ここまでの行軍、続いて会談と、お疲れでしょう。ミズル殿、皆に一旦休息をとらせましょう。昼食時になりもうした」

と提案した。ミズルも、同意し、皆、集合をかけるまで随意休憩せよ、と命じた。昼食は、アトラスの召使いたちが、屋外で食べれるように、用意していた。

 アトラスは、ミズルと並んで歩いて来て、バーンに近づき、昼食をわたしのテーブルでご一緒しませんか、と丁寧に申し出た。バーンは、それは構わなかったが、続けて、黒髪の騎士が言うであろう台詞に対して、気が重かった。

「ガラリアも呼んでいいかな、バーン殿」

言うと思ったぞ!なぁにが、「いいかな」だ。もうわたしの許可なんて、いらぬでしょうが、あなたたちには。わたしはね、あなたのことは、敬愛しておりますよ。だが、目の前で、ガラリアといちゃつかれるのには、耐えられません。

と、思い、バーンが、ガラリアのいた方向を見ると、呼ばなくとも、ほんの15メートル先には、オレンジ色の服地に赤茶色の甲冑が似合う、17歳のガラリアが、3人の騎士を見つめて立っていた。アトラスは、彼女が来てくれていて、嬉しく、笑って見せた。

 ガラリアは、休憩時間になったので、ようやく、恋人に声がかけられると思い、やって来ていた。恋人アトラスと、ミズルおじさんと、初恋のバーンが並んで立っている。バーンは、先日、私にひどい意地悪をした。あいつに見せつけてやるのだ、ぐらいの軽い気持ちで、自分から、手をふり、彼氏の名を口にしようとして、

「アト…」

言いかけて、15メートル先のガラリアは、一瞬、硬直し、次の瞬間には、

「ヒァーッ」

と、へんな、悲鳴のような声を立てて、何かに非常に驚いたような、鳩が豆鉄砲くらったような顔をし、その場から走り去ってしまった。その走る速度は、通常の3倍速で、呆気にとられた3人の視界から、彼女の姿は瞬く間に消えていた。

ビビったのは、アトラスである。恋人が、自分の名を呼ぼうとしながら、突然、悲鳴をあげて行ってしまったのだから。

「ガラリア?どうしたのかな、なんだろうか、ミ、ミズル殿、そっ、それがしはなにか悪いことでもしただろうか」

ミズルにも理解不能であったので、

「いや、とんだ失礼を。あれには、それがしから、よく言っておきまする。なんという無礼な振る舞いであろう」

アトラスの動揺は、収まらない。バーンにも救済を訴える。

「バ、バーン殿、バーンどのぅ、ガラリアはなにを怒っているのだろう、先々週ここで会った時には、いたって上機嫌であったのだ、今日までの手紙でも、特に変わった様子はなかった、内容はラブラブであった、なにかあったのか、今日それがしが、公務でしたことが、なにか気に入らなかったのだろうか、それとも、彼女は、ガラリアは、それがしのことを嫌いになったのであろうかぁ」涙声

あーうるさいッ!バーンは、皿にとまったハエを追うように、アトラスの手を振り払い、

「わかりませんな、女の考えることなどは。ハッ」

と、言い放ち、バーンもスタスタとその場を去った。アトラスなだめ役は、ミズル・ズロム一人に任されてしまった。




 誰もいない、木立のある所まで辿り着いたガラリアは、樹木に両手をついてうつむき、ハァハァ喘いで、心臓と息を落ち着かせようとした。ガラリアは、先ほど、なにをそんなに驚いたのであろうか。

 私は…気がつかなかった、今まで、こんなすごい事実に、気がつかないでいた。信じたくない…

 私と、肌を合わせて寝たアトラス。その隣りに、小さい頃から知っているミズルおじさん。そして、バ…バーンが…この3人が、並んで立っているのを、見て、ガラリアは<気がつくのが遅すぎる>ある事実を認識してしまったのだ。

 アトラスは、教えてくれた。見せてくれた。男全員に、あのヘンテコな剣が装備されている事実、そして、剣は、入れる相手がいなければ、磨かなければならぬ、と。常時、メンテナンスが必要な物体であることを。男はみんな、剣を磨くのだと!

 ヒ、ヒィィィ、では、では、ミズルおじさんは、剣は磨かないが、ご内儀とそういう事をする際には、あの股間がああいう状態になるし、ミズル殿の剣…想像したくないッ、しかも、ミズル殿はまだいいのだ。

バ、バーン!バーン・バニングスの股間にも、剣があるのだ。そして、出会ったのが、彼が14歳の時、では、あの時点から、今現在に至るまで、バーンは、バーンも、けっ剣を磨いてきたのだぁー!キーィーイヤァーアーアーアー

 いやだ、うそだぁ、嘘だと言ってくれ!出会った時の、あのさわやかな少年バーンが、自室で、もんもんしながら寄生生物をいじりまわしていたのか。バーンにも、アレがあるのか、あの顔にあの物体が生えているのか。さっきまで、きびきびと兵たちに号令していたあの青年バーンが、女の裸とか裸とか裸とかを、思い浮かべて、あの妙な形のものを、クニクニ自分で握って、アトラスのイク時みたいな、だらしない顔になって、しっ白いのを、出すのか。出す時、「アァッ」とか「ウゥッ」とか、言うのか。バーンの白いのも、ネバネバでヘンな臭いなのか。バーンの剣の、大きさ・形は、アトラスみたいなのか、やっぱり先端がヨイのか、口でくわえると、バーンも、「んがぁふぁぁ」とか、あえぐのかぁっ!いやだ、そんなバーンは、意地悪なバーンよりいやだ、気持ち悪い!

 こういう少女の考えること、男性読者には、今ひとつ、よくわからないかも、しれない。この少女は、人生で最初に優しくされた異性が、バーンであり、彼に初恋をした。恋と言っても、肉欲の伴わない感情である。愛欲を知らない上に、知ろうとすることをも拒否していたのである。現在12歳のリムルと同じ、「王子様」に憧れるような、兄を慕うような気持ちだったのである。

この少女が、初めて褥を供にした男性は、バーンではなく、アトラスである。彼女から見て、アトラスだけは「褥アリ」な男性、そういう男性はアトラスただ一人であって、他の男性を「褥アリ」目線で見たことがなかったのである。とりわけ、バーンは、幼馴染みで、兄のようであり、先輩であり、騎士の目標であったがため、余計に、「剣装備・剣磨き・白いの放出・アァッウゥッ言う」ような、そんな具体的な「男」だとは、今の今まで、認識できていなかったのであった。

「栗毛の馬にまたがる、キリッと真面目な王子様」が、実は♪フェーラがー好きーで、んがぁふがぁと、よがって白いのを出す。こんな気持ちの悪いことがあろうか。彼は、彼だけは、そんないやらしいことしないのよ!…でもするらしい…イヤァーアーアー

その点、男バーンの方は、それこそガラリアと出会った日の夜、

「今日、入学してきたあの子、なかなか可愛いではないか。まだ胸はそんなに大きくないけど、毎日会えるのか、学校には、他に女の子いないからな、通学が楽しくなる。裸は、どんなだろう、花には毛は生えているのだろうか、アァ、13さいのあそこハァハァ」

と考えながら、早速ガラリアをおかずにして、剣を磨いていたのだった。

男女では、想い合っていても、こうも、考え方に開きがあるのである。

そして、現時点でもまだ、ガラリアがわかっていないことがあり、それは、バーンのおかずリストに、自分も入っていることであった。




午後、クの軍隊が整列し、アトラスの、片手の一振りで、右へ、左へ、後退、前進し、アトラスの指先一振りで、側近たちが駆け寄り、命令に嬉々として従う様を、見ていたドレイクは、目頭にしわを寄せ、考えていた。

(こやつは、切れ者すぎる。同盟国が、我が軍より、優れていては、アの国王を廃した後にも、こやつに主導権を握られてしまう恐れがある。世の望みは、アの国王になることだけ、などではない。バイストン・ウェル世界の統一国家の長になることよ。そのためには、例え、禁を破ることでも、オーラ・ロードを開くことでも、畏れはせぬ。隣国などは、早い内に、手中にせねばならぬのに)

そして、領主は、己が部下、ミズルとバーンが、そのアトラスと、仲よさげに、話している様子を見た。

 遠目からドレイクは、アトラスがバーンに耳打ちしたり、バーンがそれに答えたり、ミズルが何か言い添えたりしているのを見ていた。話している内容が、演習のことであろうと、内輪のことであろうと、関係ない。特に、リムルの婿にどうかとさえ考えている、若いバーン・バニングスと、肩擦れ合うほどに接近して喋り合っておる。

(しかも、アトラスめ、我が軍の中枢におる者と、こうも親交を結ぶとはな。ニャムヒーの娘を得るだけでは、気が済まぬと見える。うむ、アトラスは、危険だ…悪い芽は、早め早めに摘み取ることよ。のう、ルーザ!)




 夕方の休憩時間になり、アトラスは、焦って恋人を探した。城内の廊下にいたガラリアは、アトラスを嫌ったわけではないので、彼に呼び止められると、

「うん?どうした、そんなにあわてて」

とケロリと言った。アトラスは、彼女の笑顔に、ほっと胸を撫で下ろし、

「よかった、昼に、君がなにか変だったから…わたしは気が気でなかったのだよ」

「ああ、そうか、心配かけたかな。なんでもない。気にしないでくれ」

「そうか、よかった。うん、ではね、」

と、この屋敷のあるじは、周囲に人影がないことを確認し、甲冑をまとった恋人の手をとり、引き寄せた。

「今日は公務だから、君と2人きりで食事したりできない…こちらへ!」

と、小さめのドアを押し開け、中へ入るように促した。ガラリアが入ってみると、狭い部屋に、ぎっしり、布団が積み重ねてある。召使いが使う、ここは布団保管用の部屋だった。アトラスはもう、野獣の目つきになっており、ドアを閉じ、内側からかける鍵がないので、たたんである布団10枚くらいを、よいしょっと持ち上げ、内開きのドアの前に置いた。なんと頼りないバリゲードだろうか。気は確かか、親衛隊長。

 ガラリアは、え?ここでなにを?とひるんだが、野獣は獲物を捕まえて、積み重ねた布団の上に押し倒した。

「キャッ!やだ、なにをする、アトラス!時間が、おい、あと小一時間もしたら、集合が」

「だから今すぐ、スルんだよ!」

「こんなところで?いやだ、こんな、物置、すぐそこの廊下を皆が歩くではないかッ」

「だからいいんじゃないかぁ」

「いやッ!あぅ」

ガラリアのこまっしゃくれた口は、アトラスの唇で塞がれ、そうなると、もうガラリアの花は、性懲りもなく、濡れてしまっていた。

「うぅ…ん、ぃやぁん…」

この声、もう我慢しろと言う方が無理だ。しかもこういう、狭い布団部屋、廊下を皆が通る、薄い扉のこっちでは、声を潜めてイイことしてます、ひなびた温泉旅館みたいなシチュエーション、筆者は、いや、アトラスはこういうのが大好きな御仁であった。オイオイ。

「あう、いや、いやぁ…だめ、甲冑が」

「キマイ・ラグの殻は硬くて柔らかいさ、ほらすぐ脱げるねぇ」

すっかり人格が温泉旅館になっているアトラスは、ガラリアの胸当ての甲冑と、腰当ての甲冑を、とってしまい、オレンジ色の服も乱暴にめくって、露わになった白いおなかに吸い付いた。

「きゃぁ…あぅん…アッ、いや、だめ!アトラス、いやだ、こんなところでぇ」

「おっきい声出すとね、廊下に聞こえてしまうよ。ほら、今誰か歩いてくる…」

確かに、コツコツと軍靴の音が聞こえる。この廊下は、現在、ここに逗留している誰でも、通る可能性のある場所であった。なんでそんな所に布団部屋があるのかとか、この際突っ込まないでおこう。布団部屋がイイんだよ!コツコツ…足音の主は、ゆっくり歩いて去って行った。ガラリアは顔を真っ赤にし、抵抗したが、体の芯は、ほてって、彼の愛撫に応えてしまっていた。アトラスは、ガラリアのズボンを下ろし、白いパンティーの上から、花びらをぐいぐい押して、

「下着の上からでもわかる…もうこんなに濡らして、なんて悪い子だろう。ほしいのだね、わたしの剣が」ぐいぐい

「くぅぅぅーッ…だめぇ、いや、いやッ!苦しい」

「大きな声はだめだと言っているだろう?君のよがり声を、わたし以外の男に聞かせる気かい?本当に悪い子だ」ぐいぐい

「わる、く、なんか、ないぃ…悪いのは、アト…」

布団部屋であるから、その他の寝具も積んである。アトラスは、カバーの付いていない枕を取って、

「ほら、君は枕が好きだったね。これをお顔に当ててなさーい」ぐいぐい

ガラリアの両手に枕を抱かせて、なおもアトラスは、花びらをぐいぐいし、そしてパンティーを膝まで下ろして、服を半ば着せたままでそこだけ剥き出しになった、花にしゃぶりついた。枕の下で、ガラリアは

「フガフガフガーッ」

ともがいた。ああ、フガフガ。恋のフーガ。♪おいかけーて おいかけーて しゃぶりつっきたいっのーと、うっとりしたアトラスは、

「枕より、君はこっちの方が好きかなー」

と、神業の速度で、自分の甲冑とズボンの前をはだけ、枕を取り去り、硬くなっているナマの剣を、ガラリアの赤い唇をこじ開けて、根元まで差し込んだ。17歳の彼女の唾液に飲まれて、剣とお口がじゅむじゅむと、淫靡な音をたてる。

「ウゥうぐぅ…フガフガ」

「んぁあああイイッ!なんて、なんて悪い子なんだぁ!演習の合間に、布団格納庫で、こんなことスルなんてぇ」

誰かアトラスを止めてくれ。あんたの声の方が、よっぽど高いぞ、とガラリアが剣をくわえながら思った時。

 廊下でまた、軍靴の音がし、聞き慣れた2人の男性の話し声が、聞こえた。性獣アトラスも、ハタと口をつぐんだ。


「のう、ミズルよ。アトラスという男を臣下に持つ、ク国王は、さぞかし国政に安心なことであるか、のう」

「さようですな、お館様。軍規の整っておること、部下の信頼の厚いこと、目を見張るほどであります」

よりによって、おじさんコンビかい!と、ガラリアは、剣を口に入れたまま、うなったので、自然に舌が動いてしまい、剣の持ち主は、

「…ふぃぃぃぃ…」

と、それはそれは情けない、だらしない顔で、快感に耐えた。その情けない、だらしない男のことを、廊下のおじさん2人は、なおも誉め続けている。

「クの軍は、アトラスが一人で仕切っておるも、同然だな。ミズル、その方よりずっと若いが、統率力では、どうだ、そなた一人で、あれだけの大軍勢を、指先一つで、自在に動かせるか」

「いやはや、アトラス殿のようには、到底。彼の信頼の源には、クの王室に代々仕えてきた家柄もありましょうが、アトラス殿の領地では、民百姓に至るまで、領主が通れば、皆が駆け寄って、歓声をあげると聞きますれば、あの若者の人徳は、さだめし…」

ワカモノではなく、バカモノだ!おい、おっさん、そのアトラスはなぁ、今、私の舌の動きひとつで、あふぁとか、ふぁぁんとか言って、アホ面で腰をへなへなさせるのだぞ、とガラリアは、おっさん2人の声と足音が聞こえなくなるのを確かめて、思いっきり舌を動かした。

レロレロレロ、ぶちゅ、ちゅばっちゅばっ。統率力があって人徳のある若者は、顔面にダラダラと汗をかきながら、

「イイッ!いいよぉ、上手だよ…ああ、興奮する、こういうのが、ヨイのだ、あぁ、廊下におやっさんたち、剣に君のお口ぃぃ」

やはり、剣なめは、人格破壊兵器らしい。ガラリア自身も、こんなふうにしてたら、頭がくらくらし、あふ、あふ、とあえいできた。アトラスは、時間がないこともあり、剣を彼女の口から抜いて、その唇に激しくキスして、衣服を膝までしか脱がせてない、膝が閉じた状態のまま、花に剣を押し込んできた。後ろからではなく、膝を閉じさせ斜めにずらし、顔は向き合う体位である。

「アアーーッ!あぁ、あ!あ!痛ぁい…斜めからなんて、いやぁ、あ!」

「まだこれは少し、痛いかな。ああ、締まる、ヨイ、すっごく、いいぃん」

「ああッ!あぁん、あん、ああーううーー、キャァァ、痛いぃ」

そこへ。また、廊下で数人の男たちの声がした。アトラスは、叫ぶガラリアの口を、自分の口でふさいだ。


「アトラス隊長はどこへ行かれたのだろう?お前、見なかったか」

「さあ、きっと、あのガラリア殿と、お過ごしなのではないかな。なにしろ隊長は口を開けば、ガラリア、ガラリアだから」

「隊長の、ノロケがすごいだろ。まったく、普通、男同士で、自分の彼女のことを、あそこまでバクロしないものだがな」

バクロ?なんだ、今、私の花に挿入している剣のヌシは、自分の部下に、私の何を、喋っているのだ。口もふさがれて、息が苦しくなりつつ、廊下の会話は、聞こえてくる。

「俺はさ、ガラリア殿は、今日初めて見たんだ。確かに、隊長が夢中になられる気持ちは、わかるよ。なんて言うか、垂れ目でつり眉の目元がさ、気が強そうで、それでいて色っぽいって言うか。あのひと、何歳だっけ?」

「17だそうだ。隊長は、彼女はわたしが初めてのオトコでな、それはもうかわいくてかわいくて仕方がないのだぁーって」

「おっ、お前、隊長の物まね、上手いな。もっとやれ」

「おう。ガラリアはなぁ、なぁー、わたしのことを、アトラスぅーって、ぅー、って伸ばして言うのが、これまった〜たまらんのだぁ、白い肌がなぁ、全身朱鷺色になってなぁ、小刻みに震えながら、わたしを見つめるのだぁ」

「アッハッハッハッハ!似てるー!隊長の言い方そっくり!」

数人が合唱。ワッハッハッハッハーッ!と、彼らは遠ざかっていった。

…剣を入れられたまま、その彼をジト目で睨みつけるガラリア。花に入れたまま、照れくさそうな、隊長閣下。痛いあそこを、ガラリアは、ギュッと締め付けてやった。

「あふぁぁ」

間抜けな声であえぐアトラス。ガラリアは、痛みと快感に耐えながら、ノロケ野郎をののしった。

「アトラス…お前ぇ…うっ、よくも、部下に、私の恥ずかしいことをっ、あぁっ」

「ごめんよ、あぁ、わたしのガラリア!だって会えないから、ああ、君のことを喋りたくて喋りたくて、んあぁ」

そして、しばらく出し入れされ、ガラリアは、花の痛みが和らいだり、また痛んだり、内側の感触が、「感じて」きたのがわかった。初めて挿入された時から、入れる度に、だんだん感じ方が変わってきたのだった。苦しそうに低くあえぐ彼女、アトラスは、早めに、イキそうになり、

「あぁ!イク、ガラリア、お口を開けて!」

なに?と思ったら、彼は、剣を花から抜くと、ガラリアの口に、爆発寸前の剣を、押し込み、彼女の口中に全て吐き出した。初めての口内射精に、ガラリアは驚くのと同時に、

「ぐぅ〜…ぁぅ…」ごくん、ごくん

白いのを飲まされる、被征服欲、下の口も、上の口も、犯される、被虐という名の快感…に、酔いしれてしまった自分に、めまいがした。味は、なんともはや。とろみがあり苦く、まったりとした喉ごし、そして甘い。飲料用品ではないにしろ、飲めないことはない、だが、飲まされているという感じが、なんだかいい…ヘンなの…被虐とは、「いじめられる」ことではなかったか?

 この感じは、全然違う。気持ちが、いいのだ。男性に「頼っている」のとも意味合いが違う。なにか、行為されていながら、私がさせているような感覚だ。

 彼が剣を私の口から抜き、口に残る白いのを、飲み込んでいたら、彼は私にディープキスをして、私の口内の、彼自身のネバネバを、吸い取ってくれた…あぁ…好き。彼が、好きだ。こんなふうに、私を変えていくこの人、この人と、出会えてよかった。

 そんな想いを、何も語らずとも、抱き合っているだけで、分かり合うのが、恋人同士だった。

 2人は、静かに、キスして見つめ合った後、無言で、自分の濡れた部分をそのへんのシーツでふき、何も喋らないで、服装を正した。ガラリアが先に、もう集合時間ではないかな、と急いで、ドアの手前の布団をどけた。背後のアトラスは、軍服のマントを整えていた。

廊下に人の気配がないと思い、ガラリアはドアを手前に開け、廊下に半身を出した。オレンジ色の軍服を、廊下の切れる場所で見つけた青年が、大きな声で命令した。

「なにをしている!集合に間に合うのか、こんなところにいて」

 ヒーィーイヤァーアーアーアーッ!!ばばばバーン・バニングス!お前こそ私の【直後】になんで現れるのだぁ!ガラリアは、驚愕のあまり、垂直に1メートル飛び上がり、しかも反射的に、隠れようと布団部屋に後退してしまった。10枚の布団バリゲードにお尻をはばまれたら、バーンはつかつかと大股で歩み寄り、ドアの前まで来てしまった。

「下士官が遅刻して済むと、(ん?布団?)なんだ、こんな狭い部屋でなにをしておるのだ!」

ガラリアは、自分の人生で、今ほど窮地に追い込まれたことはなかったような気がした。脊髄反射で、次は、ヤバい布団部屋から、猛ダッシュで逃げようとしたのに、もっとヤバいブツを、バーンは発見してしまったのだ。積み重ねた布団の陰から、薄茶色のマントつき軍服を着た騎士が、のこのこと顔を出してしまっていた。

「いや、は、は、バーン殿。ちちちちょっと彼女と話し込んでおって。すまぬ、ささ、ガラリア、行きなさい」

まだ紅潮したままの頬のアトラスが、明白なごまかし笑いで、やたら饒舌に喋ってくれたものだから。

もう、本編の主人公は「穴があったら入りたい」気持ちで、バーンに一度も見せたことのない、真紅に染めた顔を、今さっき白いのを飲み干した喉を、アトラスの剣を抜いたばかりの花を、その場から消そうと、全速力で走り去った!

本編の、もう一人の青い髪の主人公は、怒髪天にキタ。青い長髪は逆立ち、赤茶色の瞳孔はカッと見開き、鬼の形相で立ちすくんだ。地獄のオニ―さんもかくありなん、怒り心頭に達した。

わ、わたしの目の前で、いちゃつくなと思っていたところへ…こっ、こいつら、今本番終了かい!全身をわなわなと震わせ、目上だったはずの騎士に向かって

「なにを、しとるのか、お前らはァーーーーーーーッ!!」

お前ら、と複数形だが、ガラリアはもうここにはいない。ガラリアの彼氏(直後)が、ふにゃふにゃの照れ笑いで、

「いや、いや、すまぬ、バーン殿。つい」

「なにが、ついだッ!この部屋は、なんだ、この、ふとん、あんァーよりによって、なんでこんなところで、いたすのだッ!!」

「…趣味で…」

「どういう趣味ですかァッ!わたし、先ほどもここを通って…(いたしてたのか)……ふ、」

猛り狂っていたバーンは、口を閉じ、鼻で息を吸い込み、うつむき、ふ、ふ、とつぶやいた。アトラスは、校長先生に叱られている小学生のように、棒立ちでうなだれて、先生のお言葉を待っていた。ふ、ふ、と言いながら、バーンは顔を上げ、親衛隊長を指さし、

「ふっふざけるのもいい加減にしなさいッ!!」




 その日の深夜、ドレイクは、アトラスが用意した豪奢な客間に、ミズル・ズロムを呼びつけた。蝋燭で照らされたテーブルをはさんで、2人の男は、静かに話をした。

「ミズル。その方は、わしに忠誠を誓っておるな。」

「勿論であります。お館様。それがしは、いかなる事態におきましても、お館様と共に生きまする」

賢明なミズルは、我が主君が抱いている危機感を、察知していた。少々、アトラスに接近しすぎていた…ガラリアのことで、世話をしているのを、ドレイク様に目をつけられたようだ…

「そなたの子息、名はなんと申したかな」

「セザル・ズロムであります。現在、14歳でありまして、士官学校に通わせております」

「成績はどうだ。将来、我が軍で充分働ける見込みはあるか」

「それが、不肖のせがれでして。やる気を出せば、試験では上位になるのですが、学校で習うことはつまらないなどと言う始末、いや、わがままで手を焼いております。反抗期ですかな」

ミズルは、子供を持つ父親同士の話題で、ドレイクの思いを和ませたかった。すると領主は高らかに笑った。

「ハ、ハ!反抗期か、わしのリムルもそうであるかな。男子があるのは羨ましいことだが、のう、ミズル、わしは、血縁であるからと、温情で甘く扱ってはいかんと考えておる。この、クの国を見よ。王位をめぐって、実の兄弟が離反しておる。ハッタ王には、あのアトラスがついておるが、な」

と、ドレイクは、また厳しい目つきになり、

「アトラスは…賢者であるほど、賢明ではないかもしれぬ…わかるか…」

「…さように…それがしが、お館様に付き従いますは、己が意志であり、そは忠君であります。そして、無礼な物言いと、承知で申し上げれば」

ミズルとて、海千山千の騎士である。ドレイクの目をしっかと見て、静かな口調で言った。

「ドレイク・ルフト様こそ、将来の、バイストン・ウェルの覇者とおなりになる方、とミズル・ズロムは見込んでおりまする」

ドレイクは、不適な、満足げな笑みを浮かべ、また声をたてて笑った。

「ハ、ハ、ハ!では、わしもそなたの期待に応えねばならぬというわけだ!」

では、とドレイクは、ある策謀をミズルに授けようと、言いかけて、(まだ早計だ)と考え直し、今夜のところは、下がらせた。




 軍事演習は、二泊三日で終了し、ドレイク軍はラース・ワウへの帰途についていた。途中、ドレイクは行軍を遠回りさせ、イヌチャン・マウンテンの尾根づたいを進軍した。この山の向こうが、ロムン・ギブンの領地である。クの軍隊との、国境での演習も、この遠回りも、ギブン家への示威行動の意味を持っているのだ。

 ドレイク軍が、尾根を進むのを、高い山の上から見ている若者たちがいた。黒い馬に乗り、桃色のくせっ毛の髪を、バンドの鉢巻で結わえた細身の青年は、部下の青年に「若旦那様、近づきすぎでは」と言われても振り向かず、進軍を観察していた。

「ドレイクは、クの国と結んだか。それにしても、大軍勢だな」

若旦那様の顔の周りを、小ぜわしく飛ぶ、濃いサーモンピンクの長い髪の、ミ・フェラリオが叫ぶ。

「ニー!あれが敵なのぉ?やっつけちゃおうよ!」

ニーの隣りの馬には、まだ幼女のような小柄な、直毛の黒髪を長くした、眉の太い女の子がいた。彼女が、ミ・フェラリオに叱責する。

「うるさいわよ、チャム。今は偵察してるの。こんな少人数で、突撃できるわけ、ないでしょっ」

妖精チャム・ファウは、なおも飛び回り、お喋りをやめない。

「なによキーンはえらそうね!まだ11歳のくせにぃ、いっぱしの女戦士気取りなんだからぁ」

「気取りじゃないわよ!わたしんちキッス家は、ギブン家にお仕えする騎士なの。だからわたしはニーについて行ってるんだから。まだ11歳ってなによ!じゃあチャムは大人だって言うわけぇ?」

「フェラリオに年齢を聞くのは、失礼なのよ、知らないの、フンだ。キーンのいばりっ子!」

女同士の小うるさいお喋りを、制したのは、ギブン家の嫡男、ニー・ギブンだった。

「静かにしないか、敵に聞こえるぞ」

聞こえたわけではないが、尾根の山際を、赤毛の馬で疾走していたガラリアが、山上でこちらを眺めている騎馬一団に、気がつき、即座に、ドレイクの乗る馬車へ駆けた。

「お館様に、進言致します!ギブン家の偵察隊と思われる者が、あちらに!」

ガラリアに言われて、馬車から身を乗り出したドレイクは、

「うむ、あれか。よい、見せてやるのが、目的だ。ガラリア、その方、一人で、あの連中に、威嚇攻撃せよ。やり方は任せる」

君主の、この申し付けに、ガラリアがどれほど意気込んだか!

薄緑色のまなこは歓喜と、野心で燃え上がり、愛馬は、女騎士に鞭打たれて、敵へと勇ましく走った。整列した行軍から、青い髪の毛の騎士が、一騎だけニーのいる山腹へと、疾風がごとく駆け上がった。

 キーン・キッスが叫ぶ。

「ニー!一人こっちへ来るわ!」

チャム・ファウはニーの肩に寄り、コモンよりよく見える目で、馬上の騎士の様子を知らせた。

「女兵士よ!あっ剣を抜いたわ、ニー、どうするのっ?!」

ギブン家の嫡男は、少しの動揺も見せず、一声、部下たちに申しつけた。

「あいつの相手は俺がする!みんな下がれ!」

言うや否や、ニー・ギブンは腰に携えた剣を抜刀し、馬を敵騎へと、駆け下りた。急斜面で、2人の騎士は、合間見えた。

 馬と馬との間隔、20メートルほどまで接近し、女兵士は、剣を振りかざして、名乗りをあげた。

「ドレイク・ルフトが騎士、ガラリア・ニャムヒー!我らが行軍に、用あらば私が聞こう!その方はたれかッ!」

「ロムン・ギブンが嫡男、ニー・ギブンだ。ここは境界線だ、俺たちは日課の巡視に来ただけだ」

ニーだと?そうか、この痩せた青年が、隣りの領主の息子か。威嚇せよとの命令だ。剣を交えては、先に手を出した方が、宣戦布告をした事になってしまう。ガラリアは、右手の真剣で、樹木の、突き出ている枝葉を、ばっさばっさと切り捨てて見せ、

「ご嫡男自らお出ましとは、随分無用心だな。私のつるぎの餌食となるか、ニー!」

対峙したニーも、ガラリアが威嚇だけで来ているのはわかっているので、抜刀した剣をかざしたまま、落ち着いて言った。

「あいにく、剣術は苦手でね。お前にはかないそうにないな!ドレイク様にお伝えしてくれ。その内、直々にご挨拶に伺う、とな」

「それは、重畳。では、」

と、ガラリアは、剣の切っ先を、ニー・ギブンの方へ向け、

「巡視が終れば、早々に帰還されるがよい。あれにある、その方の部下たち、今私一人で討ち取るは、たやすい事だからな!」

「そのようだ。では、ガラリア・ニャムヒー、双方帰途につくとしよう!」

 こうして、ガラリアとニーは、振り返り威嚇しながら、それぞれの陣へと戻って行った。

 キーン・キッスは、遠ざかるガラリアを見て、

「あの女戦士、すごく強そうね…ドレイク軍にはあんな女の人もいるんだわ。もし戦争になったら、わたしの歳では、悔しいけどかなわない。彼女に対抗できるような、頼れるおねえさんが、いたらいいのに…」

と、考えていた。彼女が望む、頼れるおねえさんは、後年、現れるはずである。その名は、マーベル・フローズン。

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